69.特別な石
69.特別な石
ペンをとったウォルは、さらさらと三人組の似顔絵を描いていく。
宝飾品のデザインなどで慣れているのだろう、ウォルはあっという間に精緻で見事な似顔絵を完成させていった。
「完成じゃ!まさに、こんな人相の三人組じゃったわ!」
ウォルは完成した三枚の似顔絵をカウンターに並べていった。
ウォルの言う通り、似顔絵の三人組はたいそう人相が悪く分かりやすい顔立ちをしている。
一人は鋭い目と四角張った顔貌。
二人目は狡猾そうな目に面長の顔貌。
三人目はギョロッとした目にぶくぶくとした顔貌をしていた。
ヤモは長く王都に住み冒険者稼業をしているが、三人とも初めて見る顔だ。
同じ冒険者ならば顔くらいは見たことがあるはずだが、まったくといって見覚えがなかった。
となると、三人組は冒険者ではないか新規の冒険者、はたまたはぐれ冒険者のいずれかだ。
そんな者たちとニックの接点は何なのか。ニックはどこでこの三人組と繋がったのだろう。
「ニック君は、どこへ行ってしまったのかのう…」
店の扉の方に視線を向けて、ウォルは静かな口調で呟いた。
「彼は優しい子じゃよ。三人組がワシや店の商品にケチをつけるたびに、謝ってくれたのはあの子じゃった。どうしてまぁ、あんないい子があんな三人組と一緒にいたのやら…」
「ニックさんは三人組の名前を呼んでいませんでしたか?」
「いや、名前は呼んでいなかったのう」
「そうですか…。他に、覚えていらっしゃることはありませんか?」
「ふぅむ…そうじゃのう…」
腕を組みながら考え込んだウォルは、何かを思い出したのか顔を上げる。
「ニック君は、特別な石を持って帰ってくると言っていたのう。その石を使って、指輪とブレスレットを作ってほしいと言っていったんじゃ」
「とくべつないしですか?」
「それはどんな石か、彼は言っていましたか?」
「どんな石かまでは、聞いておらんのじゃ…すまないのう…」
マオとヤモの問いかけに、ウォルは残念そうに頭を振った。




