68.ニックと謎の三人組
68.ニックと謎の三人組
マリアージュを出発したヤモとマオは、ガーネットから教えてもらった宝飾職人たちを一人一人訪ねていった。
ガーネットから教えてもらった宝飾職人たちの人数は六人。
いずれも商業街で個人店を営んでいる。
空振りに終わったらという不安を振り払い、ヤモとマオは一軒ずつ回り話を聞いていった。
事態が大きく動いたのは、五軒目の店、『レガロ』で聞きこみをした時だ。
レガロは職人歴五十年のウォルという老紳士が営む店である。
「ニックさんがおみせにきたのですね!」
「それはいつか覚えていらっしゃいますか?」
「おお、そうじゃよ。はて、たしか…」
カウンターに身を乗り出さんばかりのマオとヤモに、店主兼職人のウォルは頷きながら眼鏡を外した。
「ニック君が来店したのは三月十二日の昼じゃよ。依頼は、指輪のオーダーメイドじゃったな」
プリシラがニックと最後に顔を合わせる三日前だ。
「ニックさんはどこかにいくといっていませんでしたか?」
「そうじゃのう…ああ、指輪に使いたい石は、自分で採りに行くとは言っていたな。じゃが、どこに採りに行くとまでは言っていなかったのう……ん?そういえば!」
眉を八の字に下げて答えたウォルは、何かを思い出したのか目を少し瞠った。
「ニック君と一緒に来店していた者たちがおったんじゃよ!」
「一緒に来店していた者たちがいたんですか」
「どんなひとたちだったのですか?」
「ああ、それがな…」
ウォルの穏やかな顔立ちが、途端に苦い物を飲んだような渋面に変わる。
「人相も態度も悪い三人組の男たちじゃった!服装からして、冒険者のような格好をしておったな。ニック君のような好青年には似つかわしくない者たちじゃったから、よう覚えておるわ」
「その三人組の顔や特徴を覚えていらっしゃいますか?」
「もちろん!人の顔を覚えるのは得意なんじゃよ!そうじゃ、三人組の似顔絵も描こう」
ウォルは得意げに笑うと、引き出しから用紙やペンを取り出して準備をしていく。




