65.キラキラのわっか
65.キラキラのわっか
「ヤモおねえちゃん?」
黙り込んでしまったヤモを心配したのか、マオは不安気な顔になる。
マオが一生懸命に考えて言ってくれたのだ。分かりませんでしたとは口が裂けても言いたくない。
だが、聞くしかない。聞くべきだ。
聞くは一時の恥。聞かぬは一生の恥というではないか。
「マオ…」
「はい、ヤモおねえちゃん」
「その、キラキラのわっかはどんなものなんだ?」
「キラキラのわっかですか?」
マオは、うーんと考えてからジェスチャーをまじえながら説明を始めた。
「キラキラのわっかはまぁるくて、キラキラしたいしがついているのですよ。コルトむらのカトルおにいちゃんも、まちにいるおんなのこにプレゼントしたっていってました」
「まるい、キラキラした石…もしかして指輪か?」
説明を聞いて閉ざされていた思考が一気に開けていく感覚がした。
そうだ指輪だ。指輪ならばニックがプレゼントにしようとしていた可能性はおおいにある。
もし違ったとしても指輪に準ずるアクセサリーを用意しようとしていたかもしれない。
「でかしたぞ、マオ!ニックは指輪を用意しようとしていた可能性が高い」
「わぁ!じゃあ、つぎはニックさんがキラキラのわっかをかおうとしたばしょをさがすのですね!」
「ああ、店を探してそこにニックが来店していれば手がかりがつかめるかもしれない」
マオとヤモは顔を見合わせて喜んだ。
大きな前進とは言えないかもしれないが、貴重な第一歩である。
「ところで…」
疑問がすっきりしたところで、ヤモは気になったことをマオに聞いてみることにした。
「カトルお兄ちゃんは、指輪を渡した後どうなったんだ?」
「カトルおにいちゃんは、おんなのこにキラキラのわっかだけもらわれてバイバイされたってないてました」
カトルお兄ちゃんにとっては、とんでもなくシビアな仕打ち。
語るマオの表情と口調も悲しげだ。
つまり、カトルは指輪だけとられて捨てられたということか。気の毒な話である。
面識もなくヤモの想像ではあるが、カトルは純朴で心優しい好人物なのかもしれない。
心の中で、カトルにひっそりと同情を送りつつも、ヤモは本題のニック捜索のために店探しに向かうことにした。




