64.捜索のための糸口
64.捜索のための糸口
翌朝、ヤモとマオはニックの捜索に出発した。
マクリール夫妻が用意してくれた栄養たっぷりの朝食のおかげで、ヤモマオの活力は充電満たんだ。
とはいえ、手がかりが乏しくニック捜索は濃い霧中を進むような感覚だった。
地道に聞き込みをするが収穫はゼロ。
王都は広いため、顔見知りが数名いたとしてもニックのことを知らない者たちの方が大半だ。
聞き込みの成果が得られなかったヤモとマオは、トボトボとした道すがら頭を悩ませていた。
「ニックさんは、プリシラさまのためにプレゼントをもってくるっていっていたのですよね…」
「そうだな、その肝心のプレゼントがいったい何かだな…」
もしかすると、ニックがプリシラに渡そうとしていたプレゼントが糸口になるかもしれない。
だが、そのプレゼントが何を示すのかが皆目見当もつかないのだ。
ヤモは腕を組みながら唸る。
だめだ、ちっともそっとも分からない。
男性が女性に向けて送るプレゼントとは何か。
色恋には果てしなく疎いヤモの頭にはこれっぽっちも有力な答えが浮かんでこない。
「ぷれぜんと…ぷれぜんと…あ!」
ヤモの肩の上で考え込んでいたマオが、不意に声を上げた。
「ヤモおねえちゃん!」
「うきゃっ!」
大きめの声が耳に響き渡り、ヤモは思わず身体を跳ね上げそうになった。
鼓膜にマオの声がリフレインのようにこだまする。幼いながらもインパクトとガッツのある声だ。
不覚にも、耳がキーンっとなってしまった。
「ど、どうしたマオ?」
「マオ、わかったかもしれません!」
「わ、分かった…?分かったのか!ニックが送ろうとしていたプレゼントが!」
「はい!あぅ、で、でも、マオまちがえているかもしれません…」
強く頷いた直後、マオの言葉尻が自信なさげにしぼんでいく。
「大丈夫だ、間違えていてもいい。マオ、教えてくれないか?ニックは何をプレゼントにするつもりだと思ったんだ?」
「は、はい…えっと、キラキラのわっかです!ニックさんは、キラキラのわっかをプリシラさまにプレゼントしようとしていたのかもしれません!」
「キラキラの、わっか…」
「はい!」
拳ならぬ肉球を握りしめて真剣な面差しで頷くマオ。
(……キラキラのわっか?…え?)
ヤモの思考は情けなくも停止した。
脳裏には、意味をなさない壮大な草原がまたたくまに広がっていく。
(キラキラのわっかって、何だ?)
思考の大草原に一人たたずみ、ヤモは己の知識不足を一人嘆いていた。




