63.バートン家族のためにも
63.バートン家族のためにも
「本当よ。ニックを解雇したことも、口には出さないけれど後悔しているわ」
「そんな…だったら…」
プリシラは唇を噛みしめて目を閉じる。細い肩は震え、すすり泣く声が漏れてきた。
「そうね、後悔をするくらいなら、ニックを解雇するべきでなかったし…あなたに手を上げようとするなんてもってのほかだわ」
セレナはプリシラの頭に自分の頭をくっつけて、抱く手に少しだけ力をこめる。
「マオさん、ヤモさん」
事態を見守るしかなかったマオとヤモに、セレナが声をかけた。
「娘からの依頼、私からもどうかお願いいたします。騒ぎに巻き込んでしまって申し訳ありません」
「依頼は必ず。それと、私もマオも巻き込まれたとは思っていません。ご安心ください」
「プリシラさま、セレナさまもゆっくりねんねしてくださいね」
「お二人とも…ありがとう…」
セレナは滲むような笑顔を浮かべると頷いた。
マオの言う通り、セレナにも休息が必要なのか明らかだ。それほどまでに彼女の顔を蒼白い疲労感が縁取っていた。
「明日からニックさんの捜索を始めさせていただきます。我々は、本日はこれでお暇いたします。マオ、行こうか」
「はい、ヤモおねえちゃん!プリシラさま、セレナさま、マオがんばりますね!」
迅速に何としてもリックを探し出さなければ。バートン親子は三人とも精神的にギリギリの場所で踏みとどまっている状態だ。
それもいつ崩れるか分からない。
ヤモとマオは明日からの調査に備えるため、この日は帰路につくことにしたのだった。




