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62.すれ違う父娘の気持ち

62.すれ違う父娘の気持ち


最初は怪訝な表情だったプリシラたちも、目を丸くしてマオの話に耳を傾けている。


「マオさん、この子は他に何か言っているのかしら?」

プリシラに問われたマオは、再び耳をを動かしながら胎児の声を聞き始めた。


頷きながら聞いていたマオの表情が、不意に曇る。

ヤモたちには会話内容が分らないが、マオの様子は明らかにしょんぼりとしていようだ。


さっきまでぴんっとたっていた尻尾は、しょんぼりと下がっている。


マオはおずおずと視線を上げてヤモたちを見渡してからうつむき加減で言った。

「おじいちゃんをおこらないでっていってます…」

マオの言葉にヤモたちは顔を見合わせた。

胎児の言うおじいちゃんは、ジョセフのことだ。


「マオ、だんしゃくさまにひどいこといいました…マオがいちばんいじわるです」

うつむくマオの双眸が徐々に潤んでいく。今にも大粒の涙が浮かび上がりそうだ。


マオは顔を上げると、プリシラのお腹に向かって語りかける。

「あかちゃんのおじいちゃんにひどいこといってごめんなさい。マオ、おじいちゃんにごめんなさいいますね」

胎児がどんな返答をしているかはヤモたちは分らないが、マオは耳を動かしながら頷いた。


「マオ、何て言っているんだ?」

「あかちゃん、いいよっていってくれました。あかちゃん、やさしいです」

滲んでいた涙を拭い、マオは安堵の表情を見せた。


そんなマオの手を、プリシラが己の手で優しく包みこんだ。

「マオさんは悪くないわ、マオさんはわたくしのことを守ろうとしてくれただけでしょう?」

「プリシラさま…」

「一番の意地悪な子は、わたくしよ…」

そう言ったプリシラは目を閉じた。白い頬を透き通った涙が流れていく。


「プリシラ、あなたも休みなさい。お父様のことはお母様にまかせて…ね?」

「お母様…ごめんなさい…」

セレナはさめざめと泣くプリシラの肩を抱き、あやすようにさすった。


「お父様はね、意固地になっているだけよ。あなたのことが大切で心から心配してるの…ニックのこともね」

「うそ…お父様が…?」

驚いて顔を上げたプリシラは目を僅かに見開いた。

あのジョセフの言動を目の当たりにすれば信じられないのも無理がないかもしれない。

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