54.プリシラの気遣い
54.プリシラの気遣い
カートには銀色のティースタンドとティーポット、カップがのっていた。
食器類はひと目で分かる上質なものばかりだ。
ティースタンドの上から一段目には色とりどりのカップケーキ、二段目にはスコーンとブルーベリージャムにクロテッドクリーム、3段目には豊かな具材が挟まれたサンドイッチが並べられている。
マオとヤモがポカンとしている間に、ナターシャとメイドたちがどんどんとテーブルの上に準備を進めていく。
マオとヤモの前にティーカップに注がれた紅茶が置かれ、プリシラのカップにはルイボスティーが注がれた。
紅茶は上等な茶葉を使用しているのだろう、深く芳醇な香りが鼻をくすぐる。
「お砂糖とミルティアジュースもございますので、よろしかったら紅茶にお使いください」
そう言い添えて、メイド二人が部屋から退出していった。
「ちょうど昼食の時間ですから、簡単なものしか用意できませんでしたが、よかったら召し上がってください…あら?どうかいたしましたか?」
言葉を途中で止めたプリシラは目を丸くしている。ナターシャもプリシラ同様に目を丸くしていた。
どうしたのかと思い、プリシラの視線の行方を追ったヤモは納得しつつもぎょっとした。
「マ、マオ?」
プリシラとナターシャの視線の先では、マオが食事に目を釘付けにしたままぷるぷると震えている。
印象的なオッドアイの双眸は星が煌めくように輝いていた。
「ごちそう…キラキラしてますね…」
感嘆がこめられたマオの一言に、プリシラとナターシャはクスッと笑いをこぼした。
二人とも楽しそうにクスクスと笑っている。
プリシラの機嫌を損ねたと思い、フォローの準備をしていたヤモは、拍子抜けしたままポカンとした。
フォローに入る必要はなかったようだ。むしろプリシラとナターシャには好感触な様子。
さらには、プリシラからは少しだけ張りつめていた雰囲気が和らいでいる。
「マオさんは楽しい子ですね。さあ、どうぞ。うちのコックが腕によりをかけて作ったのでとってもおいしいですよ」
「ありがとうございます!いただきま…」
大喜びで食べようとしたマオは、ぴたっと手を止めてヤモを見上げた。
エチケットに反していないか気になったようだ。
ヤモは柔らかく微笑んで頷いた。
「ありがたくいただこう」
「はい!いただきます!」
時刻は十二時を過ぎた頃。
考えてみればここまで来る間に昼食をとっていなかったので、マオもヤモもお腹がペコペコだった。




