49.ありがとうっておきもち
49.ありがとうっておきもち
「ヤモおねえちゃん!けんがくおわりましたよ!」
「そうか、楽しかったか?」
「はい!」
ヤモはホップからマオを受け取ると、自分の肩にのせた。
ヤモの肩はすっかりマオの特等席になりつつある。
「マグノリア、ホップ、私とマオはそろそろ失礼する。今日はありがとな」
「マグノリアおばあちゃん、ホップおにいちゃん、ありがとうございました」
ペコリと頭を下げるマオにマグノリアとホップは少し名残惜しそうに手を振る。
「用事があってもなくても、また遊びに来てくれていいからね」
「また来てくれよ、ヤモ氏!マオ氏!」
名残惜しそうなマグノリアとホップ、職員たちに送り出されたヤモとマオは商業ギルドを後にして冒険者ギルドへと足を向けたのだった。
「ヤモおねえちゃん、どうしてマグノリアおばあちゃんとあくしゅしていたのですか?」
冒険者ギルドへの道すがら、マオがふと思い出したようにヤモに聞いた。
マオに気づかれていたようだ。
純粋な双眸に急かされるように、ヤモは気まずいながらも正直にマオに伝える。
「その、実は…マオの両親の情報をマグノリアたちに集めてもらうことになったんだ。ギルド総出で情報を集めてくれるから情報が集まるかもしれない」
「パパとママのことですか!?」
途端に、マオは顔をほころばせた。双眸は両親との再会への希望と期待に満ちている。
すぐにとはいかないが大規模なギルドが関わってくれれば、マオの両親を見つける突破口が開ける可能性が増える。
「マオ、ただ謝らなければいけないことがある」
「あやまること?どうして、ヤモおねえちゃんがマオにあやまるのですか?」
「マオの許可なしに、事情をマグノリアに話してしまったことだ。すまなかった」
もちろん、マグノリアを信頼してのことだがマオに無断で話してしまったことに変わりはない。
真摯に謝るヤモ対してマオはしばし沈黙した。
その沈黙はマオの怒りかもしれない。
マオ怒りはもっともだ。
「マオ…」
再び、誠心誠意謝ろうと口を開いたヤモをマオののんびりとした声が制止した。
「マオはおこってないですよ?」
ヤモが驚いてマオを見ると、マオは双眸をくりくりさせて小首を傾げている。
「ヤモおねえちゃんは、マオのパパとママをさがしてくれるために、マグノリアおばあちゃんにおはなししてくれたのですよね」
「あ、ああ…だが…」
「マオ、ヤモおねえちゃんマグノリアおばあちゃんにおねがいしてくれてうれしいです!だから、マオはヤモおねえちゃんにありがとうっておきもちです!」
果てしなく無垢で、心の底からピュアな言葉。
それは心配になるほどに。
けれど、落ち込んでいたヤモの気持ちを掬い上げてくれるくらいに温かい。




