48.マグノリアの年の功
48.マグノリアの年の功
「よかったな、マオ」
「はい!ヤモおねえちゃん!」
口座登録と預け入れも無事に終わったところで、ヤモはマグノリアたちに礼を言って商業ギルドを後にしようとした。
そこで、不意にマグノリアが声をかけてきた。
「ヤモ、マオにギルドを見学させたいんだが、いいかい?」
「あ、ああ…マオ、見学させてもらうか?」
「いいんですか?マオ、けんがくしたいです!」
「よし、ホップ!いろいろ見学させてあげな」
「はいよ、ばっちゃん!マオ氏、行こうぜ!」
「はーい!」
ヤモからマオの抱っこを代わったホップはマオと一緒にカウンター内に入っていった。
「いいのか?マグノリア」
「もちろん、新人冒険者にギルドのことを知ってもらいたいからね」
にこにこと素知らぬ風に答えるマグノリア。
「…ありがたいことだが、それ以外の理由もあるだろう?」
感謝しつつも、ヤモはじとりとマグノリアに視線を向ける。
「見学させる新人は、マオが初めてだぞ」
「そうだったかねぇ」
視線を向けられた当人は動じもしない。
「聞きたいことがあるんだろ」
「聞かせてもらえるかい?」
マグノリアは他の者の耳に話が入らないようにギルドの奥まった場所まで移動していく。
立ち止まったマグノリアは着いてきたヤモを振り返った。
「マオのこと、何か事情があるんだろう?」
「まあ、そうだな…」
「取って食おうなんて考えてないよ、失敬だね。これでもギルドマスターだ、事情があるなら力にはなれるはずさ」
腕を組んだマグノリアは何とも頼もしげな微笑みを浮かべた。
さすが、幾度となく修羅場を乗り越えてきた商業ギルドのマスターだ。
経験値ではまだまだヤモはマグノリアには敵わないだろう。
ヤモは白旗を揚げてこれまでのいきさつを話すことにした。
「そうかい、そういう事情があったのかい…」
話を聞き終わったマグノリアは深い息を吐き、カウンターの向こうで楽しそうにしてるマオを切なげにみつめた。
「マオの両親に関して見聞きしたことにはないか?」
「ないね…マオの両親が、ギルドやこの近辺の店に寄っていれば情報があるかもしれないが」
「そうか…ケット・シーの親子は目立つはずだから情報があると思ったんだが」
ヤモは歯がゆい思いでため息を吐いた。
マオのためにマオの両親の情報を入手したいがままならないものだ。
理解はしているが情報はおいそれと簡単に入手できるものではない。
泥の中から針を見つけなければならない感覚だ。
「ギルド総出で情報を集めてみよう。収穫があったらすぐに知らせるよ。機会があれば職人ギルドにも協力を頼むといい、範囲を広げれば何か得られるはずさ。ヤモ、話してくれてありがとうね。首を突っこむようなことをして悪かった」
「いや、こちらこそ感謝する。マグノリア、情報収集よろしく頼むよ」
「まかせときな、精一杯力になるよ。あんたにはうちの商人たちの護衛を何度もしてもらってる。あたしらからの恩返しさ」
ヤモとマグノリアが笑みと握手を交わしたところで、マオとホップが戻ってきた。




