44.口座を作ろう
44.口座を作ろう
「感慨にひたってないで仕事しな。ヤモもマオも、用事があって来てくれたんだよ」
「わーかってるよ!ばっちゃん!でもさでもさ、孤高の上級冒険者ヤモ氏がバディを組んだなんてさ、興味津々の話題じゃ…いてて!」
「まったく、我が孫ながらおしゃべりだねえ。誰に似たんだか!で、二人とも、ご要件はなんだい?」
ホップの耳を引っ張りながら、マグノリアがヤモに問いかける。
遠慮なしにギュウギュウと引っ張るものだから、マオは面食らったように双眸を丸くしていた。
周囲の職員たちやヤモを含めた冒険者や商人にとっては、マグノリアとホップのやりとりは日常茶飯事のため、むしろ笑いがこぼれる。
ギルドマスターとサブギルドマスターがこのようなやりとりを日常茶飯事にしていれば、職員たちから不満が噴出しそうなものだが、そんなことはない。
マグノリアとホップは仕事に関しては優秀で他の追随を許さず、手を抜くことなくきっちりと成し遂げてくれる。
商業店街の商人たちからの信頼も篤く、ギルド内の職員たちからは深い尊敬を集めているのだ。
「用事があるのは、私ではなくマオなんだ。さあ、マオ」
笑いをおさめたヤモは、キョトンとしていたマオを促した。
「…はい!ヤモおねえちゃん!マグノリアおばあちゃん、ホップおにいちゃん、マオ、こうざがつくりたいのです」
「ほほん、口座開設登録だね。ホップ」
「はいよ、ばっちゃん」
ようやく耳を解放してもらったホップは、カウンターの引き出しから用紙を取り出す。
カウンターに置かれたのは、まっさらな何も書かれていない用紙だ。
「まっしろけです…」
「マオや、この紙には秘密があるんだよ」
不思議そうに用紙を見つめるマオにマグノリアは優しく微笑む。
「マオ氏、今から口座開設と登録をするから、この紙に向かって自分の名前と職業を言ってごらん」
「わかりました!」
頷いたマオはまっさらな紙に向かって、ホップに教えてもらった通りに自分の名前と職業を言った。




