43.商業ギルド
43.商業ギルド
店の開店準備をするマクリール夫妻に見送られたヤモとマオは、商業ギルドに向かった。
その後に向かう冒険者ギルドで、仕事の依頼が来ることを想定して、ヤモは愛用の武器である十文字槍を背中に装備している。
長く共に依頼をこなしてきたからから十文字槍はすっかりヤモの手に馴染んでいる戦友と呼べる存在だ。
キッチンかまどを出発してから徒歩で四十分程。ブティックや宝石店などが軒を連ねる商業店街に、目的地の商業ギルドは待っている。
冒険者ギルドの重厚かつ瀟洒な造りとは異なり、商業ギルドは風雅な平屋建て。
遥か東方にある海に浮かぶ島国、カグヤ皇国の建築を参考に建てられたそうだ。
入り口の引き戸になっており、ギルド内の装飾もカグヤ皇国の技術が取り入れられているからか冒険者ギルドのそれとは違う趣だ。
引き戸を開けて入った正面には、カグヤ皇国産の檜で作られた受付カウンターがある。
そこには、二人の人物が鎮座していた。
首の横で束ねたパールグレーの髪に藍色の瞳。深みのあるキリッとした顔立ち。
小柄な体躯に淡い緑色の着物と濃緑の羽織を身に着けている。
マグノリア・ハーベスト。御年九十八歳にして現役ギルドマスターだ。
彼女の隣にはもう一人。
明朗な顔立ちに首の後ろで束ねたパールグレーの髪を持つ少年。
のびやかな体躯に身に着けた渋茶色の着物は動きやすいように両袖がたくし上げている。
ホップ・ハーベスト。
マグノリアの孫であり、十六歳にしてマグノリアを補佐するサブギルドマスターだ。
ヤモの姿を目にとめた二人は嬉しそうに表情をほころばせた。
「いらっしゃい…おや?ヤモじゃないかい」
「おー!ヤモ氏、久しぶり!あれ、その子は…」
「あれまあ、そちらのかわいらしいおちびさんはどなただい?初めて見るお顔だね」
ヤモが中に入ると、マグノリアとメリクリウスの視線はヤモ肩に座るマオに釘付けになった。
まさに興味津々といった様子だ。
「マグノリア、ホップ、久しぶりだな。紹介するよ、この子はマオだ。独り立ちできるまでバディを組んで、指導教育と護衛をすることになっている」
と、ヤモが言い終わると同時にマオがぴょんっとカウンターの上に下りる。
マオはぺこりとお辞儀をしてから、元気に自己紹介をした。
「はじめまして、マオです!よろしくおねがいします!」
「マオていうのかい、あたしゃ、マグノリア。この子は、孫のホップだよ。よろしく」
「オレはホップ!よろしくな、マオ氏!にしても、ヤモ氏がパーティーを組むなんて、冒険者たちにとってはビッグニュースじゃないか!感慨深いわー…いて!」
腕を組み、うんうんと頷くホップの後頭部をマグノリアが小突く。




