↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/161

36.愛しき我が娘たち

36.愛しき我が子たち


コンラッドが肉をしまい終えると、ジーナは鼻歌まじりにミルティアの鍋を混ぜていた。

「ジーナ、何だかご機嫌だな」

長年連れ添っているコンラッドには、ご機嫌な時のジーナの癖がよく分かる。


決まって同じ鼻歌を歌うのだ。

柔らかなリズムの、愛する者へ贈るような鼻歌。


指摘されたジーナは、バレたかとばかりに笑った。

「うふふっ…たしかにね、ご機嫌かも。こんなこと言うと気味悪がられるかもしれないんだけどね…」

ジーナは、やや逡巡しながらも思いを馳せるように続ける。

「アストレア様のみもとに逝ってしまったあの子たちが…サーナとニーナが、姿を変えて帰って来てくれているみたいに感じたのよ」

女神・アストレア様のみもとにいったあの子たち。


―サーナとニーナ。


産声を上げることなく生まれてすぐに逝ってしまった、双子の娘たち。


コンラッドとジーナに出来たのは、物言わぬ我が娘たちを抱きしめ、手厚く弔い、名前を贈ることだけだった。


「なんてね!ね、気味が悪いでしょ?ヤモとマオちゃんに言ったら嫌がられそう。マオちゃんは、今日会ったばかりだが、なおのこと…」

「そんなことねえさ…ヤモもマオちゃんも、あの子たちは優しい子だからよ…」

コンラッドもジーナと一緒だ。ヤモとマオに、亡くした我が娘たちを重ねていた。


「うん…そうね。でも、あの子たちには、このことは言わないわ。ヤモとマオちゃんが、ここにいてくれるだけで幸せだもの。何だか、人生にもっと張り合いが出てきた感じがするのよ!」

湿っぽくなりそうな空気を払うようにジーナがさっぱりと笑う。


「さあ、コンラッド!仕込み、もう一踏ん張り頑張りましょ!」

「おうよ!ヤモとマオちゃんが、しっかり栄養つけて、仕事を頑張れるようにしてやらねえといけないからな!」

ジーナとコンラッドは顔を見合わせて、ニカッと笑うと再び、夜遅くまで仕込みを続けたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。