35.おいしい料理のために
35.おいしい料理のために
「コンラッドとジーナも、終わったらゆっくり休むんだぞ。それじゃあ、おやすみ」
「ああ、ありがとな!おやすみ、ヤモ」
「ヤモ、おやすみなさい。しっかり休むのよ」
マクリール夫妻と就寝の挨拶を交わしたヤモは、二階に上がっていった。
ヤモが二階の自室へ上がった後、ジーナはミルティアプリン、コンラッドは明日の朝食と営業の仕込みに取りかかった。
ジーナは黄緑色の茎の先についているミルティアの花を丁寧に取るとザルに移す。
ミルティアの花は六角形をしており、色は透き通るような純白。
自然が作り出したステンドグラスといっても遜色ないほどの透明感。
まさに、雪の結晶だ。
ジーナは水で軽く花を洗ってから、次は鍋に湯を沸かした。沸騰したら、そこにミルティアの花を入れて3時間煮詰める。
ミルティアの花は極めて繊細で柔らかいため3時間でとろけてしまう。
しかし、煮詰める際には強火は厳禁だ。風味がとんでしまうからである。弱火でじっくりコトコトが大事なコツだ。
「コンラッド、手伝うわよ」
「いいのか?ありがとな、ジーナ」
鍋の様子を気にかけつつ、ジーナはコンラッドの仕込みの手伝いに入った。
コンラッドはカウタウルスの赤身肉に下味をつけているところだった。
カウタウルスも食用魔物の一つだ。分類はミート。
赤身はバランスの良い食感とほどよい脂が味わえ、サシの入った部位は柔らかく芳醇な脂の旨味が楽しめる食材である。
コンラッドとジーナは手製のハーブソルトを肉にしっかりとまぶしていく。
ハーブソルトをまぶしたら肉はモコの葉で包み、ボックス内で朝まで寝かす。
モコの葉は食材を包むのと保存に適した大ぶりな葉で大陸の多くの国々で使用されている。
香りもなく食材に臭いがうつる心配もないため、料理人にも一般家庭にも大変重宝されているのだ。




