34.ヤモのひそかな決意
34.ヤモの密かな決意
「時間も遅いし、途中まで送ろうか?」
「それは心配無用だよ」
ヤモの申し出をフレデリカは笑顔で断った。そこで、ヤモは思い当たる。
そうだった。目の前にいるのは剣聖の称号を持つギルドマスター。
剣の腕前は王国のみならず大陸一といっても過言ではないが、フレデリカは剣技だけではなく腕っぷしも強い。
確かに、とヤモが呟くとフレデリカは得意気に頷いたのだった。
「それでは、失礼します」
「みなさん、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「おやすみなさい、フレデリカ、リーシャちゃん」
「おやすみ、気を付けてな!」
ヤモたちに見送られたフレデリカとリーシャは、キッチンかまどを後にして帰途へとついていった。
二人を見送ったヤモは、食器などを洗い場へ運びテーブルを拭きあげる。
ヤモが手早く食器を洗い、コンラッドが食器を拭いて片付ける。ジーナは食材が入った木箱を開けてミルティアの花を取り出した。
食材の入った木箱には、マジックアイテムである、溶けない氷ーマジックアイスが入っており、絶えず食材を冷やしてくれている。
「ヤモ、ありがとな!助かったぜ」
「湯浴みをして、ヤモも部屋で休みなさいな」
あっという間に食器を洗い終えたヤモに、マクリール夫妻が声をかけた。
「ありがとう、仕込みを手伝えなくて悪いな」
「いいんだよ!仕込みは、俺たちが楽しみでやるんだからな」
「そうそう、気にしないで!」
さっぱりと笑ってくれるマクリール夫妻にヤモは感謝しながら、ひっそりと反省した。
マオに三食しっかり食べるのが大事と説いておきながら、実はヤモ自身、料理の腕はてんでからっきしなのだ。
料理の基本たる目玉焼きを作れば、百個中百個が平べったいガチガチのダークマターと化してしまい、完璧に焼けた試しがない。
マオに偉そうに説いたからには、まずはヤモ自身が手本にならなければ。
第一目標は朝はしっかり食べることと料理の特訓。
朝食は紅茶を一杯なんてもってのほかだ。
ヤモは生活改善を心の中で固く誓ったのだった。




