33.お腹いっぱい幸せいっぱい
33.お腹いっぱい幸せいっぱい
「あらあら、マオちゃんはおねむになっちゃったのね…よしよし…」
うつらうつらと夢見心地のマオをジーナが優しく抱き上げる。ジーナの腕に抱っこされたマオは本格的な寝息を立て始めた。
すよすよと健やかな寝息。夢でも見ているのか表情をほころばせ、口元はちゃむちゃむと動いている。
「おや、もうこんな時間か。マオも眠くなるはずだね」
「ふふっ、ぐっすり眠ってますね。かわいいです」
眠るマオを柔らかな眼差しで見守りながらフレデリカとリーシャは微笑んだ。
時計を見ると九時を過ぎている。外はすっかり夜の帳が下りていた。
「それじゃ、お開きにするか!フレデリカ、リーシャちゃん、今日はありがとうな」
マオを起こさないためかコンラッドは声を最小にしてフレデリカとリーシャに笑いかけた。
「いえ、こちらこそ。楽しかったです」
「楽しい時間を過ごさせていただいて、ありがとうございました!」
「あたしたちもよ、今日はありがとうね。ヤモ、マオちゃん、あなたの部屋に寝かせてくるわ」
ジーナは赤子にするように、マオの頭を撫でながら言った。
「ああ、頼むよ。私は、今日はソファで寝るから、マオはベッドに寝かせてやってくれ」
「むにゃ…ごはん…おいしいです…むにゃ…おなかいっぱい…」
「まったく、夢の中でも食ってるみたいだな」
幸せそうに寝言を口にするマオに、ヤモたちは笑みを吹き出してしまった。
幼子の健やかな寝顔は心に温かな灯火を灯してくれるかのようだ。
「フレデリカ、リーシャちゃん、暗いから二人とも気を付けて帰るのよ」
「いえ!片付けをお手伝いしてから、お暇させていただきます」
「片付けは俺たちでやっておくから、気にしなくて大丈夫だぜ」
食器を運ぼうとするフレデリカとリーシャを、コンラッドが制止する。
でも、と渋る二人にヤモもコンラッドに続いて声をかけた。
「二人とも明日も仕事だろ?帰ってゆっくり休んだ方がいい」
「そうよ!二人はギルドの要なんだから、身体は大事にしなきゃいけないわ!」
ジーナからの後押しもあり、フレデリカとリーシャはようやく首を縦に振った。
「すみません、ではお言葉に甘えさせていただきます。リーシャ、お暇しようか」
「はい、マスター。みなさん、今日はありがとうございました。それでは、これでお暇させていただきます」
帰り支度を整えたフレデリカとリーシャは、ヤモたちにお辞儀をする。




