25.マオが抱えていた気持ち
25.マオが抱えていた気持ち
申し出を断られるとは思わなかったのか、マオは驚いたように双眸を丸くし、すぐにその目は悲しげに潤んだ。
「どうしてですか?マオ、わるいことをしてしまいましたか?」
マオは表情を不安でいっぱいに曇らせて俯いた。
マオの感情を表すように、三角耳と尻尾は下がっている。
「マオは、ちょっとでもおやくにたちたいんです」
そこまで言ったマオは顔を上げてヤモとマクリール夫妻を見つめた。
「ヤモおねえちゃんは、マオのわがままをかなえてくれました。あいぼうだっていってくれて、コンラッドおじちゃんとジーナおばちゃんは、かまどさんにすんでいいっていってくれました」
マオの宝石のような双眸から、ポロポロと涙がこぼれ始める。声は話していくうちに、徐々に涙声に変わっていく。
「でも、マオはヤモおねえちゃんにもコンラッドおじちゃんにもジーナおばちゃんにも、おかえしできるものがありません。マオはちからもなくて、たたかえません、だからいっぱいいっぱい、めいわくかけてしまいます」
マオはつたないながらも言葉を紡ぐ。懸命に涙を拭うがその涙は止まらない。
今のマオは、初対面の時のマイペースで明るい姿からはかけ離れている。
魔力がないことも戦えないことも気にしている素振りは見せていなかった。だが、それは大きな間違いだったのだ。
ずっと、マオは誰にも悟られないように笑顔の裏で苦悩を一人で抱え続けてきたのだろう。
「マオは、マオはよわくてふがいないです…」
「マオちゃん…」
「―マオ」
オロオロするコンラッドとジーナを手で制し、ヤモはマオに呼びかける。
ぐしぐしと涙をぬぐうのを止め、マオはおずおずといった様子でヤモを見上げた。
不安げな眼差しをヤモはしっかりと受け止める。
「ヤモおねえちゃん…」
「マオ。マオは、叶えたいことがあったから王都に来て冒険者になったんだろう?」
問いかけに、マオは鼻をすすりながらこくりと頷いた。
「ソフィおばちゃんみたいなリエゾンさんになって、いつかパパとママをさがしたいです…」
「そうだよな。マオは、ちゃんと目標を持ってここまでやって来たじゃないか」
ヤモは無骨ながらもたおやかな手で、マオの三角耳付きの小さな丸頭をなでた。
「そんなマオの、どこが弱くて不甲斐ない?ちっとも、不甲斐なくなんかないじゃないか」
「ヤモおねえちゃん…」
ヤモの言葉にマオは双眸を瞬かせた。まるで衝撃を受けたかのようだ。




