23.2人目の居候家族
23.2人目の居候家族
マクリール夫妻が買い出しから帰宅したのは十八時半を過ぎた頃。
「マオちゃんもここに住めばいいじゃねぇか」
「そうよ!出ていくことなんてないわ、今まで通りここにいなさいな!」
帰宅したマクリール夫妻にこれまでの事情を伝えた
結果、夫妻は開口一番にこう言い切った。
マオの生い立ちと事情を聞きながら号泣していたマクリール夫妻は、どちらも目が赤くなっている。
「いいのか…?居候が増えてしまうぞ…」
「一人も二人も変わらねえさ。マオちゃんの部屋は、ヤモ。お前さんと一緒でもいいんだろ?」
「あ、ああ…それは別に構わない」
「そしたら、マオちゃんが使う家具もそろえないとだわ!ベッドは、マオちゃん用のサイズを探さないとね」
呆気にとられているヤモを置き去りにして、コンラッドとジーナは話を進めていく。ヤモが口を挟む隙もなかった。
「人数が増えるから賑やかになるな!」
「本当!毎日がもっと楽しくなりそうだわ!」
マクリール夫妻は嬉しそうに言うと朗らかに笑った。これはもう決定のようだ。
マクリール夫妻からは心からマオを歓迎する気持ちが伝わってきた。
思えばヤモが居候させてもらう時も、マクリール夫妻は今と同じ表情で歓迎してくれたのだ。
ヤモを居候させているだけでも夫妻の負担となるのに、2人ともマオまで受け入れてくれようとしている。マクリール夫妻には感謝しかない。
マオはクッションが敷かれた椅子に座り、繰り広げられる会話を緊張気味に見守っていた。
ぴんっと立った三角耳は、会話を追うたびにぴこぴこと動いている。
「はい!じゃあ決まりね」
ジーナが一つ手を叩き、話はまとまったとばかりにマオに話しかけた。
「マオちゃん、今日からヤモおねえちゃんのお部屋でねんねしましょうね!お休みの日に、マオちゃん用のベッドや家具を見てくるわ」
「マオ、かまどさんにいてもいいのですか?」
マオは双眸をぱちくりさせてヤモとマクリール夫妻を交互に見上げる。
マクリール夫妻が頷き、ヤモも同じく頷く。
途端に、マオの顔いっぱいに笑みが広がった。
「ありがとうございます!コンラッドおじちゃん、ジーナおばちゃん、ヤモおねえちゃん!あ、そうです!」
ぺこりと頭を下げてから、マオはハッとしたように背負っていたリュックを下ろして中を探り始めた。
「ありました!」
何事かとヤモとマクリール夫妻が目を丸くしていると、マオはお目当てのものを見つけたのか取り出した。
それは、白い巾着袋。マオが持ち上げた拍子に、中から金属が擦れる音が鳴った。
マオは巾着袋をテーブルの上に置くと結ばれた紐を解く。中には金貨が十枚と銀貨が十枚ずつ入っていた。




