2.新メニュー
2.新メニュー
「新メニューか、楽しみだな。ありがたくいただくよ」
「よしきた!すぐに準備するぜ」
コンラッドは嬉しそうに笑うと店舗のドアを開けて中に入った。ヤモもすぐに一階店舗へ繋がる階段を降り、店内に顔を出す。
一階では厨房で準備に取り掛かるコンラッドと彼の妻・ジーナもヤモを待っていた。
ベリーショートにした珊瑚色の髪とココア色の瞳が印象的なはっきりとした顔立ちの女性である。白い半袖のブラウスと紫陽花色のロングスカートが鮮やかだ。
「ヤモ、おはよう。準備するから座って待っていてちょうだい、はい、アイスティー」
「おはよう、ジーナ。いつも悪いな」
席に付いたヤモの前にジーナはアイスティーを置いた。
「いいのよ!むしろ、いつも朝はホットかアイスの紅茶一杯のあなたが、あたしたちは心配よ!ね、コンラッド」
「そうだぜ、ヤモ!朝昼晩、腹いっぱい食わねえと力も出ねえしでっかくなれねえぞ!」
「もう十分でかいよ」
ヤモは苦笑した。ヤモの身長は190。鍛え上げられた筋肉はしなやかな鋼のようだというのに。マクリール夫妻はヤモに対しては我が子に接するかのように優しい。
ヤモの実の親兄弟、同族などより何倍も何百倍も。比べることさえ失礼なくらいだ。
物思いにふけりそうになったヤモの耳に、ジュワッという小気味よい音が届いた。
同時に良い香りが鼻をくすぐる。胃が空腹だと叫び出す香りだ。
厨房では、コンラッドがバッター液とパン粉をまとわせたサモルの切り身を油で揚げていた。
サモルとは食用魔物の一つである。シーフードに分類される魔物だ。
身はツヤツヤとしたオレンジピンクで脂がのっており、生ではとろけるような濃厚な旨味と食感が味わえる。
ジーナはバンズを竈で焼いていた。揚げ物の香りと一緒に焼きたてバンズの香りも漂ってくる。




