18.誇り高き、ハイエルフ…?
18.誇り高き、ハイエルフ…?
おおかた予想はつくが、一応確認してみる。
「ず・る・い…!」
案の定、ふくれっ面のシエルが妬ましいとばかりにヤモを睨んでいた。
リィン、葛の葉、蘭丸は苦笑と呆れた眼差しをシエルに向けている。
「ごめんね、ヤモ。マオのことになると、シエルはずっとこの調子でさ…」
「かんにんえ、ヤモはん。シエルはん、マオはんのこと気に入ってしもて…昨日も抱っこして離さへんかったんよ」
「すまねえな、ヤモ。ほら、シエル!ヤモは悪いことしてねえじゃねえか」
「だってだって、ヤモずるい。わたし、まだマオの肉球は二十回しかぷにぷにしてない」
ふくれっ面をキープしつつシエルは唇をとがらせた。御年八九四五歳の駄々っ子である。
それに、二十回もぷにぷにすれは十分ではないか。ぷりにすぎである。
フレデリカに助け船を求めてみるが、彼女な楽しそうにくすくすと笑っている。
どうやら、高みの見物を決め込むつもり満々だ。
「マスター…」
そんな上司に対して、リーシャは盛大なため息を吐いた。
これはまいった。ヤモはリーシャに負けず劣らずのため息をこぼした。
「ヤモおねえちゃん?シエルおねえちゃん?」
自らが争いの火種になっているとはつゆ知らず、マオは小首を傾げた。
きょとんとした顔でヤモとシエルを交互に見ている。
それから少し考えたマオはシエルに近付くと、ちょいちょいと手招きした。
「マオ?何?わたしに、ご用?」
途端に、ふくれっ面が消えたシエルは素直にソファから立ち上がるとマオの前にかがんだ。変わり身が早すぎる。
自分の前にかがんだシエルに向かって、マオはおもむろに手を伸ばし。
ぷにんっ!
「シエルおねえちゃん、いいこいいこです」
「ーーーうひゃっひょっ!」
シエルの両頬を肉球で挟むと、ぷにぷにと極上マッサージを始めた。マオにしてみれば、シエルを慰める行動のつもりだったのだが、シエルには刺激が劇薬並みだったのである。
奇妙な声を上げた後、シエルは顔を真っ赤にして硬直。直後、上向きになり鼻血を噴き出して崩れ落ちるように卒倒した。
上向きになったのは、マオに鼻血を直撃させないためのシエルなりの配慮だと思われる。
誇り高く高貴なハイエルフを、ここまで骨抜きにして昏倒までさせるとは…。ヤモはケット・シーの肉球の威力を目の当たりにして愕然とした。
「シエルおねえちゃん、ねんねですか?」
マオはといえば卒倒したシエルを不思議そうに眺めている。それはそうだ、マオにしてみれば肉球マッサージを施しただけなのだ。
「ケットシ・ーの肉球はハイエルフの魔力をも上回るのか…」
「ヤモ、絶対に違うと思うよ」
大真面目に驚愕するヤモに対して真顔のリィンが冷静な指摘を呟いた。




