15.育てのおばあちゃん
15.育てのおばあちゃん
「ソフィおばあちゃんはマオをそだててくれたおばあちゃんです。マオが、いまよりうんとちいさいあかちゃんのときにノルンのもりでひとりぼっちでねんねしていたのをソフィおばあちゃんがたすけてくれたんです。マオのおなまえも、ソフィおばあちゃんがくれました」
思いを馳せるように愛おしむように、マオは胸に手を当てて目を閉じた。
その様子だけで、マオがソフィに大切に育てられたことが伝わってくる。
「両親はどうしたんだ?」
「パパとママのことは、マオわからないんです。ソフィおばあちゃんがみつけてくれたとき、マオはこのポンチョにくるまれて、このペンダントももっていたっておしえてくれました」
マオは身に着けているポンチョとペンダントを誇らしげにヤモに見せる。
「ソフィおばあちゃんが、きっとパパとママがマオにもたせてくれたのかもしれないよ、だから、だいじにだいじにしなさいって、いってました。ポンチョはさいしょはちいさかったけど、ソフィおばあちゃんが、マオがおおきくなるたびにちくちくぬいぬいしておおきくしてくれたんです」
ポンチョは当初は赤ん坊のマオに合わせたサイズだったようだ。
ヤモはしげしげとポンチョを観察した。縫い目は目立たず布も同色に近い。ソフィが、丁寧に丁寧に縫い継いできたのがよく分かる。
ソフィは、マオの両親から託された愛情を大切に守りつないできたのだ。
事情は知ることは出来ないが、マオの両親も捨てたくてマオをノルンの森に置き去りにしたわけではないのかもしれない。
マオが両親を恨んでもいないのは、ソフィの深い愛情に包まれていたからだ。ヤモはそう感じた。
「ソフィおばあちゃんもコルトむらのみんなも、マオにとてもやさしくしてくれました。マオ、ソフィおばあちゃんとむらのみんながだいすきです。でも、マオがごさいになってすぐにソフィおばあちゃんがびょうきになったんです」
きっと、ソフィとコルト村の村人たちはマオが卑劣な者たちに見つからないように幸せに生きていけるように守ってきたのだ。
(ソフィとコルト村の村人たちの結束力は、相当なものだったんだな…)
魔力を持っていないことが露見すれば、ケットシーの希少性も相まってマオはひとたまりもなく連れ去られてしまう。
ソフィとコルト村の人々がマオを守るために、極めて心を砕いたことが想像できる。
ソフィとコルト村の村人たちの並々ならぬ決意と覚悟を感じ取り、ヤモは心底感服した。
ふと周囲を見ると、クレイドルメンバー、フレデリカとリーシャは、悲しげだが慈しむようにマオの話に耳を傾けている。
「マオとむらのみんなでかんびょうして、まちからおいしゃさんもよんだけどおばあちゃんはげんきにならなかったんです」
マオは少し俯いた。声のトーンは沈み、宝石よりも透き通った双眸は微かに潤んでいるように見えた。
「はるがくるまえに、ソフィおばあちゃんはアストレアさまのところにいっちゃいました」
アストレアはカルディア王国国民の大多数が信仰する、アストレア教の女神だ。正義と救済を司る女神である。




