130.マオの頼みごと
130.マオの頼みごと
ヤモは首を振り、マオの背中を励ますように優しく叩いた。
「そんなことはない、マオは勇ましかったぞ!バジリスクを倒せたのはマオがいたからだ。それに、戦士に怪我はつきものだしこの傷も、私にとっては誇らしい勲章さ」
「でも、マオは…」
「私一人では絶対に倒せなかった。マオがバジリスクの弱点に気付き、私の目と耳になってくれたじゃないか」
ヤモは力強く笑うとマオに拳を差し出す。
「あれは私とマオ、二人で戦ったから得られた勝利だ。そうだろ、相棒」
「ヤモおねえちゃん…」
マオは潤みが涙に変わる前に、くしくしと目を拭うと笑顔で拳を差し出した。
「改めて、これからもよろしく。マオ!」
「マオも!よろしくおねがいします!ヤモおねえちゃん!」
もふんっ、とヤモの拳にマオの拳が合わさる。
窓から差し込む暖かな日差しがまるでヤモとマオを照らし出すようにして包み込んでいた。
ーー正式にバディ結成も決まったこともあり、喜びの余韻にひたりながらヤモとマオはまったりとした時間を過ごしていた。
「そうです!ヤモおねえちゃん!」
と、そこでマオが、はっとしたようにヤモを見上げる。
「どうした?マオ」
「ヤモおねえちゃん、おうとでほんをいっぱいよめるばしょはありますか?」
「本か…?そうだな…ああ、王立図書館ならたくさんの本が所蔵してあるぞ。けど、どうして本が読みたいんだ?」
マオの問いに答えたヤモは小首を傾げた。
なぜ、マオは唐突にたくさんの本が読みたいと思ったのだろう。
「ヤモおねえちゃん、マオ、しらべたいことがあります。げんきになったら、いっしょにとしょかんにいってほしいのです!」
そう言ってヤモを見つめるマオの眼差しには、幼子とは思えないほどの深遠な思慮で満たされていた。




