129.ずっとのあいぼう
129.ずっとのあいぼう
食事を終えて、ヤモは水をマオはミルティアジュースを飲みながら一息ついていた。
ミルティアジュースを飲み干したあたりで、マオはヤモを見上げる。
「ヤモおねえちゃん、おけががなおってげんきになったら、おかいものにいっしょにいってほしいです」
「いいぞ。何か買いたい物があるのか?」
「マオ、おくつとぶきがかいたいんです」
「靴と武器が欲しいのか?」
「はい!」
マオは大きく頷いてコップをカートに置いた。
それからマオは決然とした光を双眸に宿す。
「マオは、いつもヤモおねえちゃんのかたにのせてもらったりだっこしてもらってます。ソフィおばあちゃんといっしょだったときもソフィおばあちゃんにだっこしてもらってました。でも、ずっとはだめだとマオはおもうんです。マオもじぶんのあんよであるいていけるようにおくつがほしいんです」
マオは自分の脚の肉球をぷにぷにと触る。
「おくつがあればごつごつしたところやちくちくしたところもあるけて、ぶきがあればマオもたたかうことができます!いつか、マオはひとりでおしごとをするひがきます。だから、ひとりでもたたかえるようになって、いっぱいあるいてあんよをつよくしたいんです」
マオの話を聞くヤモの鼓動が動揺を表すように大きく跳ね上がった。
ヤモ自身、いつかくるマオの独り立ちを想定していたとはいえ、本人の口から聞かされると否が応でも狼狽えてしまう。
「ヤモおねえちゃん?どうしましたか?」
黙り込んでしまったヤモを不思議に思ったのか、マオは首を傾げる。
我に返ったヤモは、少し逡巡した後に意を決して口を開いた。
「マオ、独り立ちのことなんだが」
食事の準備が整う間に、ヤモがずっと考えていたことだ。
もう少し時間をかけて考えるつもりだったが、マオの話を聞いて決意が固まった。
「マオ。正式に、私とバディを組まないか?」
マオの双眸を真摯に見つめてヤモは伝えた。
ヤモは緊張しながらマオの反応を待つ。
「…マ、マオ?」
だが、マオからは返答がない。
それもそのはず、マオは目を丸くしてヤモを見上げていたからだ。
ヤモは一気に狼狽した。冷や汗が全身から噴き出そうだ。
「い、いきなりこんなことを言われて困るよな!そ、その…今の話は忘れて…」
「ずっとのあいぼうなのですね」
「くれていい……へ?」
「ヤモおねえちゃんといっしょに、ずっとおしごとができるのですね」
両頬に手を当てるマオの顔が、ぱぁっと満面の笑みでほころんでいく。
「マオ、ヤモおねえちゃんとずっとおしごとがしたいです!ずっとのあいぼうになりたいです!」
「い、いいのか?私と、バディを組んでも…」
「はい!あ、でも…」
ご機嫌だったマオの表情が、不意に曇った。ぴんっと伸びていた尻尾はあからさまに下がっていく。
「ヤモおねえちゃん、マオはまだよわくてあしでまといです。ずっとのあいぼうになったら、ヤモおねえちゃんがいつかまたおけがをしてしまうかもしれないです…」
うなだれるマオの双眸は、不安と恐怖が混じった沈んだ色を宿している。




