127.薬膳スープ
127.薬膳スープ
ヤモが思案の水底に深く沈んでから二十分ほど経った頃。
ドアをノックする音がヤモを現実に引き上げた。
「ど、どうぞ!」
慌てて返事をすると、ドアが開いてサービングカートを押したカタリナと一緒にカタリナの隣を歩くマオが入ってくる。
サービングカートには湯気が昇るスープボウルとポット、コップが載っていた。
それに加えて、ベーグルたまごサンドが載せられた皿とミルティアジュースが注がれたコップとポットも相乗りしている。
「ヤモさん、お待ちどおさま」
「ヤモおねえちゃん、ただいまです」
マオはヤモのベッドによじよじと登ると、ちょこんと座った。
カタリナはベッドサイドににサービングカートを横付ける。
スープから漂う豊かな香りが鼻孔をくすぐった。胃袋が早く食べろと急かすように、ぐうぐうと鳴りやまない。
カタリナはコップにポットから水を注いでから、スープボウルをヤモに手渡してくれた。
乳白色のスープには、細く裂かれたウコッコ肉のささみと刻まれたキクラゲや雪割りマイタケが彩り、アクセントに赤いナツメの実も入っていた。
「薬膳スープよ。ゆっくり飲んでね。マオちゃんは、リクエストのベーグルたまごサンド〜!さあ、二人とも召し上がれ!」
「わーい!カタリナおばちゃん、ありがとうございます!」
マオは満面の笑顔でベーグルたまごサンドを受け取り大事そうに自分の前に置く。
そんなマオを見守るカタリナは眼差しはとても温かく柔らかい。
「食事が済んだころに食器を取りにくるわ。食べ終わったら、カートの上に載せておいてね」
「わかりました!」
「何から何までありがとうございます」
「気にしなくていいいのよ、しっかり食べて休んで元気にならなきゃ!それじゃあ、またあとでね」
カタリナはマオとヤモに微笑みかけると、部屋を退出していった。
「ヤモおねえちゃん、いただきますしましょ!」
「そうだな、いただこうか」
マオとヤモは手を合わせると、そろっていただきますをする。
ヤモはスプーンでスープをすくうと、口に運びゆっくりと飲み込んだ。
嚥下すると温かいスープがじんわりと胃袋へと浸透していく。
思わず感嘆の吐息が口から漏れた。
スープは素朴ながらもふくよかな旨味があり、どんどんと飲み進めてしまう。
細く裂かれたウコッコ肉のささみは食べやすく、キクラゲと雪割りマイタケ、さらにナツメの実の滋味が身体中に染み渡っていく。




