111.にょろにょろにはまけないです!
111.にょろにょろにはまけないです!
邪視を使うのだから、バジリスクは対象を見えていて当たり前という思い込みが盲点になっていたのだ。
「邪視は使えるが、私たちのことは見えていないということか…!」
ならば突破口はあるはずだ。
しかし、問題はまだある。
バジリスクの敏捷さを補うのは視力を必要としなくともあまりある卓越した聴力と嗅覚。
邪視の能力も加算されるため、フェアな戦いにはならない。
バジリスクは聴力と嗅覚だけでヤモを捕捉出来るがが、ヤモは視力をフルに使って戦わなければならないのだ。
戦闘中にバジリスクと視線が合ってしまうリスクは避けようがない。
一度でもバジリスクと目を合わせたら確実に麻痺。
ひとたび動けなくなればあっという間にバジリスクに丸呑みされて胃袋消化行きだ。
「くそ、どうする…!」
どうやってもバジリスクの邪視から逃れながらの戦闘法が思い浮かばなかった。
「ヤモおねえちゃん」
悩むヤモの服の腕をマオが小さな手で、くいくいと引っ張る。
我に返ったヤモを澄んだオッドアイの双眸が見上げていた。
「ヤモおねえちゃん、マオがヤモおねえちゃんのおめめとおみみになります。だから、ヤモおねえちゃんはおめめをとじてにょろにょろをやっつけてください」
「目を閉じて…?」
マオから提案された命がけの作戦を理解するまでに多少の時間を要した。
理解した瞬間、ヤモはギョッと目を見開く。
「ダ、ダメだマオ!そんなことをは危険すぎる…!私がどうにか近付いて、バジリスクを倒す!」
「だいじょうぶです!マオは、おみみとおはなとおひげでにょろにょろがどこにいても、ぜったいにみつけられます!」
マオは誇らしげに胸を叩いた。
「マオのおみみとおはなとおひげは、にょろにょろにはまけないです!ヤモおねえちゃん、マオをしんじてください!」
深い叡智を思わせる眼差しがまっすぐにヤモを見つめてくる。
その眼差しは疑念も不安もいとも簡単に突き抜けて消し飛ばしてしまう。




