104.朝を待つ
104.朝を待つ
マオの反応を見ると焼き甲斐があるものだ。
こんがりと焼けたスピカフィッシュは文字通り食欲を誘う。
通常のスピカフィッシュは体長が十五cmほどだが、ヤモとマオが漁ったスピカフィッシュは丸々としていて体長も二十cmという満足な大きさ。
食べごたえも満腹感も抜群なのは間違いなしだ。
ヤモとマオはスピカフィッシュのぷっくりとした身にかぶりついた。
「むっ!」
「ふむっ!」
ヤモとマオは目を瞠り、同時に感嘆の声を上げる。
焼き魚特有の濃厚な香りが鼻に抜け、噛みしめた身はふっくらとした弾力とともにホロホロと口の中で溶けていく。
「ヤモおねえちゃん、おさかなおいしいです!ふわふわでとろってなりますね!」
「我ながら上出来に焼けたみたいだ。うまい!」
うまさも食べごたえも十分。ヤモもマオもぺろりと平らげてしまう。
思った通り一匹丸々食べたからかたっぷりの満腹感を得ることが出来た。
気付けばとっぷりと日は暮れて空は衣替えをしたかのように漆黒の衣装と星の装飾をまとっている。
頬をなでていく風も昼間とは違いほの寒さをはらんでいた。
暗闇の中で、静謐な星の光と暖かな焚き火の揺らめく光だけが煌々と空間を照らしている。
「マオ、明日は早い。そろそろ休もう」
「はい、ヤモおねえちゃん!」
「一応、結界石は置いてあるが万が一ということもある。マオ、怪しい音や臭いはするか確認してもらってもいいか?」
「わかりました!」
マオは目を閉じて音を集めるように両耳をそばだてながら鼻をくむくむと動かし始める。
じっくりと神経を集中させていたマオは、しばらくしてパチリと目を開けてヤモに向かって頷いた。
「ヤモおねえちゃん、こわいおともこわいにおいもしないです!」
「ありがとうな、マオ。それじゃあ、休むとしよう。寝袋に入って暖かくして寝るんだぞ」
マオの鋭敏な聴覚と嗅覚のおかげで、安心して眠りにつくことが出来る。
あとは、ヤモが定期的に火に枝を焚べつつ周囲を警戒すれば問題はない。
明日の出発に備えて、ヤモとマオはテントに入りゆっくりと眠りについたのだった。




