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広間の魔力が、一瞬で膨れ上がった。
黒い騎士の足元から魔力の波紋が広がり、祭壇の周囲の石床が震える。背後の巨大な黒結晶が、心臓のように脈打ち始めていた。
ドクン。
ドクン。
その鼓動に合わせるように、騎士の魔力も増幅していく。
レオンが炎を灯したまま言う。
「……おいおい」
黒瀬も眉をひそめる。
「今までのより明らかに強いぞ」
神谷が盾を持ち上げる。
「王級」
アシュベルが静かに剣を抜く。
「納得だ」
リーメイが魔法陣を展開する。
「魔力が結晶から供給されてる」
悠真は騎士を見ていた。
ゼロシンクがゆっくり沈んでいく。
黒い騎士が言う。
「この結晶は」
剣を軽く持ち上げる。
「この神殿の封印核」
刃が六人へ向く。
「これが砕ければ」
少し間を置く。
「ここに封じたものが解放される」
黒瀬が顔をしかめる。
「いやそれ」
レオンが笑う。
「完全に壊しちゃダメなやつじゃん」
神谷が低く言う。
「つまり」
アシュベルが続ける。
「騎士を倒さず結晶も壊さず、突破する必要がある」
黒瀬が叫ぶ。
「難易度上がってね!?」
リーメイが言う。
「騎士は結晶から魔力供給を受けてる」
レオンが笑う。
「じゃあ結晶を止めりゃ弱体化する」
神谷が頷く。
「だが破壊は不可」
黒瀬が頭を抱える。
「めんどくせぇ!」
その瞬間。
黒い騎士が踏み込んだ。
床が砕ける。
一瞬で距離を詰める。
アシュベルが剣で受ける。
ガンッ――!!
衝撃。
アシュベルの体が数メートル滑る。
「重い!」
黒瀬が横から拳を振るう。
騎士が剣で受ける。
火花。
レオンの炎が横から叩き込まれる。
爆炎。
だが騎士は止まらない。
次の瞬間。
騎士の剣が振り抜かれる。
黒い斬撃。
神谷の盾が受ける。
衝撃。
神谷の足元の石床が砕けた。
リーメイが魔術を展開する。
「拘束!」
青い鎖が騎士へ巻き付く。
だが。
騎士の魔力が膨れ上がる。
鎖が砕け散る。
レオンが笑う。
「いいね」
炎を大きくする。
「やっと本気の相手だ」
アシュベルが剣を構え直す。
「連携で押す」
神谷が言う。
「結晶の供給を止める」
リーメイが頷く。
「私が結晶を解析する」
黒瀬が拳を鳴らす。
「つまり」
ニヤリと笑う。
「俺らが時間稼ぎか」
悠真はまだ動いていない。
黒い騎士は、その悠真を見ていた。
少しだけ笑う。
「……お前」
剣を構える。
「動かないのか」
悠真が答える。
「まだ」
ゼロシンクがさらに深く沈む。
騎士の魔力。
結晶の脈動。
広間の構造。
すべてを観察している。
レオンが笑う。
「いい」
炎を振り上げる。
「その間は俺らが遊んでやる」
黒瀬が突っ込む。
「行くぞ!」
黒い騎士が剣を振るう。
そして。
本当のボス戦が始まった。




