第六話「人は寝ないとダメですわ、おほほほほ」
DNSのゾーンの手動バックアップをなんとか探し当て、アカリ嬢は卒倒した。
「『ohohohoho.zone』って、王宮のドメインって『.ohohohoho』でしたの??」
寝不足と深夜二時のハルカ嬢の狂気に晒されて、気絶した。
王立病院。
王侯貴族のための医療機関と勘違いされがちだが、実際はかかりつけ医の紹介状をもってきた患者は平民でも関係なく診療を受けられる、王都の高度医療を請け負う医療施設である。
気を失ったアカリ嬢はここに搬送されたが…。
「…病院のベッドは寝心地いいですわね。
ここ数日厚紙製の箱をバラしたやつを敷いて床で寝ていましたわ。
寝たと言っても一日2時間くらいでしたけど…」
看護師がドン引きしている。
医師はなぜか「お前は俺か?」という目で見てくる。
丸一日寝たらスッキリした。
そして、その地下室で、アカリ嬢が「患者の情報照会がめちゃくちゃ遅い!」という不具合調査をしていた。
「十中八九、断片化ですわ。」
ステータスを確認していく。
「何なのよ、テーブル名、フィールド名の接頭辞が全部『OHOHOHO_』じゃないのよ…。」
「余計な文字列増やして、こういうのも『ちりつも』なのですわ…。」
「ディスクの90%の位置にHWMがありますわね…。
断片化も酷いし、ストレージ交換した方がいいですわ…。」
「それで、どれくらいかかる?」
「…国王陛下、いらしたんですの?」
「胃潰瘍の薬をもらいにきていたところにお前さんを見かけたんでな」
「…で、どれくらいかかるかと仰ったのは時間のこと、お金のこと、どちらでして?」
「両方だな」
「時間は…全部準備ができてから丸二日、お金は…この王都の混乱の中、ハルカ嬢もいないのでディスクの調達はできるかどうか…」
「…しかし難儀だな…」
アカリ嬢がどうにかならないか探したら、あるモノを見つけた。
「『/var/memo_ohohohoho.log』って、なんですの、これ…。
cat /var/memo_ohohohoho.logっと…」
『ディスクが断片化した時の対処方法:祈るしかないですわ、おほほほほ
ディスクがいっぱいになった時の対処方法:気合いですわ、おほほほほ』
アカリ嬢は確信した。
これが『深夜二時テンション常用運転』の成れの果てなのだと。




