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悪役令嬢ですが、婚約を破棄されて隣国に追放されたので、祖国の中枢システムを買収してクラウド移管させて利用料をぼったくりますわ!おほほほほ!  作者: 三咲 美月
空を目指しますの、おほほほほ

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第五十五話「空を目指す理由ですわ、おほほほほ」

飛行魔道具の共同開発の発表会では、ハルカが簡単な講演をした。

空を飛ぶ原理。

できるようになること。

そして、これから開発する飛行魔道具の特徴について。


オープンキャンパスの講演の時とは違い、近隣国の注目もあり、報道関係者も後方で模写魔道具を構えているので真面目に淡々と説明した。

完成イメージ図をプロジェクターに映し、用途を説明する。

「これは『輸送用』ですわ。

遠い場所で災害や反乱が起きても、すぐにある程度の部隊を送り込めますわ。

そしてこちらは『哨戒用』ですの。

空から、敵が近づかないように見張るため燃費はよく、長時間飛び続けられますのよ」


(あ、今日は「おほほほほ」って笑わないんだ…)

ヨシチェックは真面目に聞いていない。

どちらかというと、壇上の凛々しく講演するハルカに見惚れている。


(軍事目的って言っても、そういう方向もあるのか)

控え室のモニター越しに、フサは少しだけ安心した。


「最後に一言。

どんなに優れた有益な技術でも、使い方次第では害をもたらすことになるでしょう。

この飛行魔道具の技術が、我々にとって有益な技術であり続けることを願っておりますの。

空を飛ぶ目的が願わくば戦争ではなく、そう、例えば『船では数ヶ月かかる()()()()()()()()にもすぐ会いに行ける』ようにすることなどであって欲しいかしら…。

…。

以上です。

ご清聴ありがとうございました。」


(この最後の一言、きっとさっきの私の話しを聞いて、アドリブで追加したんだ…)

控え室のフサは複雑な心境ではあったが、ハルカの思いやりを感じて「この人を信じてみよう」と、心の中の飛行魔道具に対するマイナスのイメージにそっと蓋をしたのであった。


発表後の記者会見も終わり、ハルカが控え室に戻って来ると、入り口の前に、見覚えのある人物が立っていた。

「お久しぶりです。長いこと会えなくて寂しかったですよ!」

「おほほほほ?

たった数ヶ月ではないですの?」

数ヶ月で寂しいと言ったのは、マリア・A・ストラッツである。

アジャイリア外務大臣として発表会に招待されていた。

アジャイリアの民族衣装に身を包んでいるが、ハルカが最初に会った時と違い、真新しい生地で最近新調したものらしい。

そして、何よりガリガリに痩せていたマリア本人が健康的な外見を取り戻していた。

ハルカはアジャイリアが困窮していると勘違いしたが、実はそれは誤りだった。

アジャイリアは温暖で日照も雨も適度にある、アプリシアよりもよほど農業に適した国で、木工品や紙細工などの技術は非常に進んでいた。

マリアがガリガリに痩せていたのは、他でもないナールハヤの外交圧力で国内が騒然としたことによるストレスで、食事が全く喉を通らなかったためである。

聞けば、3ヶ月間豆腐以外のものを口にしていなかったらしい。


マリアはハルカの控え室に入ると、ハルカに抱きついて数分間離さなかった。

国土が広大なクラウディアならともかく、アプリシアの国土では輸送用の飛行魔道具を開発するメリットはない。

マリアがこの発表会に招待されたことと併せて考えれば、どう考えてもアジャイリアのためだとわかる。

マリアはそれが有り難く感じて、ハルカ禁断症状と合併症を引き起こして感情コントロールができなくなったらしい。

ついでに「星の裏側の思い人」演説はマリアにはクリティカルヒットだったらしい。


「……ぐぬぬ、ハルカ嬢は余の婚約者だったというのに…」

先にハルカの控え室にいたヨシチェックが、見せつけられて嫉妬していた。

「『だった』のであって、殿下が勝手に婚約破棄なさったのですからね。

お門違いですわよ?

…まったく、殿下には頭が痛い…。」

隣でアカリが嗜める。


「というか、ハルカ嬢は『私の腹心』ですので!

譲りませんわよ?」

なぜかアカリがマリアに食ってかかる。


「あれ?俺忘れられてね?」

ウォーターフォーリア洋務大臣パルス・ディエンフワは部屋の隅の椅子で座りながら呟いた。

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