第四十六話「天災のようなものですわ、おほほほほ」
「どういうことなんだ?」
ヨシチェックは狼狽している。
学院の卒業パーティーという公の場で婚約破棄したのだから自業自得ではあるが、ほぼ全生徒から「現実は悲しい」みたいな視線を浴びせられる。
(みんなしてハルカ嬢ををいじめていたのに、なぜここで全員ハルカ嬢に同情しているような視線を余に送る?)
ヨシチェックは『愚か者連盟』の存在を知らないので当然の反応である。
「本当にどうするおつもりかしら…。
まぁ、大体の火消しと根回しは私の仕事ですわね」
苦虫を噛み潰したというのはアカリも同様である。
「…この時を見つめて、そうなるならそうであれと行動しつつも、願わくばこうならないでほしい、そうも祈りながらこの数年過ごしてまいりましたわ…。
そう、地震や火山の噴火のように…。
しかし回避できませんでしたわね」
『愚か者連盟』の目的はいつのまにか「ヨシチェックを更生させる会」になっている。
その更生過程で、高確率で婚約破棄は避けて通れないーーハルカもアカリもそう試算していた。
ハルカとてヨシチェックが嫌いなわけではない。
むしろ、「王座に興味はない」というヨシチェックが、国王の一人息子であるがために世襲しなくてはならない境遇を不憫と思い、少しでも良い国王となる一助になれれば、それが自身の役割なのであろうとさえ覚悟を固めていた。
しかし、一度失わなければ大切なことに気づけないなら、婚約破棄されることもやむなしーー
そして結局、最終手段になってしまった。
ここから先はアカリの立ち回る番だ。
事前のハルカとの打ち合わせ通りにヨシチェックにハルカが今まで何をしていたのか分からせなければいけない。
「ハルカ嬢はこんな面倒な方をずっと真正面から支えていたんですのね…」
裏から根回しをするというアカリとは全く別の方向性で。
アカリはひどく頭が痛かった。
もはや他の病気なのでは?と疑うレベルで頭痛がする。
「棒で殴ったような痛みはすぐに入院が必要って言いますけど、棒で殴られたことがないからわかりませんわね…頭が痛い…」




