第二十五話「真の目的ですのよ、おほほほほ」
ハルカはずっと引っかかっていた。
遊牧騎馬民族は遊牧中に手に入らない物資を入手するため、定期的に定住都市と交易する。
あるいは交易する物品がなければ都市を襲撃し略奪することもある。
ただし、これはそこに行けば物資が手に入る都市が存在することが前提で、そこの住民を殺戮してしまっては、入手したい物資の生産がストップしてしまう。
寄生虫が意味もなく宿主を殺すとは考えにくい。
なのに征服地で殺戮する意味は何か?
もしかしたら、彼らは遊牧騎馬民族を辞めたのではないか?
そうなると話が変わってくる。
単純に食料生産を増強すれば良い問題ではなくなってくる。
もしくは、見せしめであって、実際の目的としたが別にあるのではないか?
たとえば遊牧騎馬民族といえば背の低い草しか生えない乾燥した気候、内陸国であれば、水源が欲しい?港が欲しい?
帆船船団を率いていたアジャイリアの提督に「ナールハヤ国内を描いたとされる絵」の写真を撮影してもらい送ってもらった。
描かれてから100年くらいは経っているらしい。
水彩画で赤色の色素がやや抜けているが、確かにいかにもステップ地帯という風景で、移動式住居のような家が描かれている。
「もう少し解像度高いカメラ作っておけばよかったですわ…。」
情報が少なすぎるが、かなたの大陸の地図を眺めて、考えられることは…。
山脈。
ステップ。
川のない都市。
遠い海。
「必要なのは、水なのかしら…?」
そんな思考が中断させられる。
「ハルカ嬢、空を飛ぶ魔道具の進捗は?」
ヨシチェックが部屋に入ってきた。
「ノックくらいしてくださいまし、着替え中とかだったらどうしてくれますの」
「結果論着替え中じゃなかったからヨシ!」
「ヨシ!…って、それは適当でも確認したふりをする時に使う言葉でしてよ?
今『ふり』すらしてらっしゃらなったではないですの…。
はぁ、もういいですわ、殿下はそういうお方ですからね。」
「…で、魔道具は…」
「レシプロ式推進魔道具の設計はクラウディアのオン・ザ・クラウド傘下のメーカーに依頼中ですわ。
それより最大の壁は電気分解ですのよ。
発電所がもう一つ必要ですわ。」
「いつできるんだ?」
「…もしかして殿下、ご自身が乗りたいだけではなくて?」
「……そ、そんなことはないが…?」




