第二十一話「国際関係悪化の予感ですわ、おほほほほ」
王宮地下の牢獄サーバルームで、とあるサーバが唸りを上げている。
リアルタイム音声が送られてきて、言語解析プログラムがフル稼働する。
当然、絵文字チャットと連動して、絵文字からも単語の意味を推測していく。
交渉1日目の夜、解析プログラムの進捗率を見て、アカリは呆れていた。
「ちょっとハルカ嬢、どうして交渉担当と殿下との会話以外の音声データが混ざっていますの?」
「帆船のすぐ近くまで行ってきて、食料と一緒に『盗聴魔道具』仕掛けてきましたわ。サンプルは多いに越したことはありませんもの、おほほほほ」
「……。」
絵文字チャットのおかげで、なんとなくわかったこと。
『別の国に侵略されそう』
あとは状況からの推測ではあったが、同盟か、援軍か、もしくは侵略されるくらいならいっそ信頼のおける国に冊封されたいか、と言ったところであろうか。
「ところで、交渉担当のPCR検査は?」
「少なくともこの国の既知の感染症は陰性だった」
「ハルカ嬢、それを聞いたってことは、船に乗り込むおつもりですの?」
「余がヨシ!って言って怒るくせに、余と大差ないではないか…」
「…殿下、一緒にしないでくださいまし」
数日後、帆船はもはや帆船ではなくなっていた。
何故なら、船団のすべての船が、『光合成魔道具』と『蓄魔力装置』と『電動スクリュー』という補助動力が取り付けられていたからである。
誰がやったか、言うまでもない。
「常に風にしか頼れないのは、心許ないですものね、おほほほほ」
プログラムによる言語解析の結果が出た。
ハルカが『盗聴魔道具』を仕掛けたことでプログラムも
「非常に解析が捗って、良い仕事ができたよ。
解析精度には自信があるよ。
えっへん!ほめて!」
とログに出力されている。
(プログラムが「褒めて」と擦り寄ってきていますわね。
ログ出力に感情を出すの、これは深夜二時のテンションですわね)
「さて、解析の結果、かなり遠い場所ではあるが…経度と緯度的にはほぼこの国の反対になるらしいが、彼らの国はそこにあるらしい」
「経度と緯度の概念はあるのですわね?」
「何です、それは…胃が痛い」
「おほほほほ、六分儀で測ってきたみたいですわ、船に乗せてもらった時に、実際に見ましたの」
「説明になっておりませんな…胃が痛い」
この星の裏側にある大国が、近隣諸国を吸収して膨張している。
近隣諸国は吸収されたあと、国民が虐殺されている。
このままだと近隣の国と同様に、その国に滅ぼされ国民が虐殺されてしまう、何とかしてくれる国を探して、未知の海域に希望を求めて彷徨っていたところに、アプリシアの排他的経済水域に入った。
「これ、どうしますかな?」
「戦争…?」
「いえ、海底ケーブル敷設して、オン・ザ・クラウドの技術と資本を投入致しますわ。
要は飲み込まれないだけの国力があれば良い問題なのですわ、おほほほほ」




