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第二十話「交渉ですわ、おほほほほ」

文明が進むと、市民は丸腰になる。

つい10年前まで、商人は自衛のため短剣を持っていた。

町内を警邏する騎士団は甲冑を着用し、サーベルを持っていた。

今では警官がホルスターに拳銃をしまっていて、ぱっと見武力には見えない。

帆船に乗っている船員は、ピッタリくっついてくる鋼鉄製の船に怯えながら、陸地に近づき双眼鏡で街の人を見る。

誰も帯刀していない。

この国は大丈夫だろうか?

そう考えながら更に近づく。


ん?

港のはずなのに桟橋がない?

他の船に倣って岸にくっ付ければ良い?

いや、ぶつかる気がする…。

結局接岸を諦め、ボートで数人を先に上陸させた。


「あの船、接岸を諦めましたな…」

「…なんか右舷から上陸しとうとしていましたわね。

やはり我々の常識とは違う地域の方達のようですわ」

「上陸した者たちの対応に、ある程度の身分の者が出向く必要がるだろう?

王太子として余が行けるように準備しておこう」

「殿下、交渉とはいえ国交のない国相手にいきなり王太子が出ていくのはちょっと…。

王族の権威が安くなりますぞ?」

「余が決めたことだからヨシ!」


交渉は難航した。

初めて遭遇する言語だった。

役に立ったのが、『絵文字チャット』だった。

(高次元文明で低次元なコミュニケーションですわ…)

アカリは心の中で皮肉を言う。

そして、その裏で音声認識、単語認識、その頻度や出現パターンから文法や品詞を解析するプログラムが動いていた。

「一晩で作りましたわ、あとはよろしく、おほほほほ」

そう言ってハルカはどこかに消えてしまった。


帆船に、クレーン船が近づき、甲板に、大量の厚紙製の箱が置かれた。

「あ、『パレット』は後で返して欲しいのですわ、おほほほほ」

箱の上には説明イラストが描かれた紙を貼ってある。

箱の中身は、『使い捨て瓶入り天然水』と『3分麺』、あと『ようかん』だった。

最初は怪訝そうにしていた

クレーン船の上でハルカが実際に目の前で食べてみせると、船員たちは喜んでいるようだった。


「食べ過ぎには注意ですのよ、ぷにぷにになってしまいますわ、おほほほほ」

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