第二話「片思いでしたのね、おほほほほ」
ホールから出る。
衛兵もわたくしを罪人扱いしたくはないらしく王太子の死角になったところで解放してくれた。
「申し訳ありません、ハルカ嬢…」
「仕方ありませんわ。
それよりも、アレが、一時の気の迷いなら良いのですが。
1週間くらい経てば冷静になると思いたいですわね。」
「…そうですね…」
衛兵は立場上、そう相槌を打つ以外にないだろう。
だが…そんな淡い期待は雲散霧消した。
いや、爆発四散の方が正確かもしれない。
「そして余はこの場で、アカリ・P・キター伯爵令嬢を新たな婚約者とする!」
会場はまた静寂。
わたくしも呆れてただただ絶句ですの…。
「謹んでお断り申し上げますわ、殿下」
アカリ嬢の声。
笑ってない笑顔が容易に想像つく。
「何故だ?余にいちいち刃向かうハルカ嬢と違っていつも笑顔で余の話を聞いてくれて、余が決めたことはうまくいくようサポートしてくれていたのに…?」
「…その殿下のワガママの裏でどれだけ根回しに私が走り回っていたか、ご存知でして?
あと、ハルカ嬢は私の腹心ですのよ?」
思わず衛兵も本音を漏らす。
「…殿下って…何も考えてないのか…」
「『余が決めたことだからヨシ!』としか思っていませんのよ、彼の方は。」
「宰相様、こちらファモチジンですわ。ヒスタミンH2受容体をブロックして胃酸過多を軽減しますの。」
「かたじけない…。
しかしアカリ嬢、これ1類医薬品なのでは?」




