第十七話「確かにぼったくりましたわ、おほほほほ」
『特殊な魔石を連鎖反応させる方式』の発電の実験棟は、未完成だった。
「特殊な魔石はクラウディアの一部でしか産出しないし、それを濃縮しないといけませんの。
そして連鎖反応を安全に扱うには、お金がかかりますのよ、おほほほほ」
「…だから趣味で作るものではありませんわ…。
……あれ?
もしかして……」
「おほほほほ、お気づきになられまして?」
「…クラウド利用料がぼったくりなのは、その一部を研究費用に?」
「いいえ、それだけではありませんわよ。
属人化しないよう、わたくしが趣味で作ったモノの仕組みを教える学校をアプリシア国内のあちこちに作っておりましたわ、おほほほほ」
「…属人化の尻拭いの費用を国家に負担させたのですか…あなたって人は…」
「いいえ、これも殿下に対する復讐ですのよ、おほほほほ」
「ハルカ嬢、復讐という言葉の意味、わかってらして?」
「…おほほほほ?取り戻したいと思わせるのがわたくしの復讐ですのよ」
「…取り戻したいどころか、王族が親子で胃潰瘍になりそうですわね…。」
帰りの魔道馬車(馬はいない)の中、そんな会話をしていた。
クラウディアは寒い。
神話では「豊穣の国」などと言っているが、緯度が高すぎてそれは暖流の影響を受ける海沿いだけの話だった。
農地を求めて開拓した結果、さまざまな民族の土地を飲み込み、広い国土となった。
そして、その国土では「採れない魔石はない」と言われている。
しかし、半年以上雪の中、冬は港が凍ってしまう地域ばかり。
そのため冬場は国民の大半が家の中で酒を飲む以外にやることがない。
結果、治安は悪化し、平均寿命も短くなっていった。
魔道具の技術がもたらされるまでは、「寒すぎる残念な国」それが国内外のクラウディアの評価であった。
しかし、今。
クラウディアで採掘可能な「特殊な魔石」を濃縮して「連鎖反応」を利用できるようにしようとしている。
その発電施設はアプリシア国内に建造中である。
これが完成すると、クラウディア側にも電力を融通できる。
ただの趣味が色々と変化を起こしすぎている。
アカリはこっそりアセトアミノフェンを服用した。




