第十三話「勘違いしないでくださいまし、ちゃんと復讐ですのよ、おほほほほ」
「一体、何なんだあの娘は!」
悪徳領主こと、ヌル・E・ポインター子爵の口から出た言葉。
そこにはもはや怒りなどの感情はなく、わけがわからないという気味の悪さだけであった。
「学校を作りますわ、おほほほほ」
民に教育を施す。
識字率が上がる。
政治経済の知識がつく。
愚民政策が通用しなくなる。
流石王太子の元婚約者、実に立派に民のためになり国益につながる…非常にうざい。
やはりこの小娘、いつか葬ってやろう。
「あと、この地域、わたくしに譲ってくださらないかしら?
ベニー公爵領飛地という扱いで構いませんわ」
…は?
そこは拝領以来先祖代々悩まされてきた不毛の地だぞ??
街一つまるごと、領民も持っていかれるのかと思ったら…何を考えているんだ?
「この土地、植物には厳しいのですが、交通を整備すれば王都からの距離と開発のしやすさ、すごくいいと子供の頃から目をつけておりましたのよ、おほほほほ」
…もしかして…。
ライセンス違約金をふっかけてきたのはただの口実で、元からこれが目的か…?
しかし…。
「お前正気か?
……いや…失礼」
憎たらしいがベニー家の方が爵位が上なので言葉遣いは気をつけねば…。
「いいのか?領主が国に収める税には不毛な土地であろうと面積も考慮される。
その土地は昔から押し付けあってきたような場所だ…。
むしろ手放せるなら有難いが…」
いくら自分の野望を邪魔する小娘といえど、同じ貴族として、普通に心配になる。
「農地としては活用できないだけで、工業都市を作るには喉から手が出るほど欲しいのですわ、おほほほほ」
「…喉から腕が生えたらグロいな」
「あら、そういえばそういう慣用句は存在しませんでしたね、おほほほほ」
…全くもって意味がわからなかった。
しかしその後、譲渡した土地に急ピッチで建物が建っていったのを見て、「本当に欲しかったのか」とヌル・E・ポインター子爵は理解すると同時に、「あいつは何者なんだ?」という訝しさでモヤモヤするのであった。




