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第十二話「穏便かつささやかな大逆襲ですわ、おほほほほ」

「こんな金額、払えるわけないだろ…」

ハルカから復讐の内容を聞いて呆然とするヨシチェック。

「殿下、払えないことをハルカ嬢は最初から承知の金額ですわよ、これ」

「…いやわかってはいる。

だからこれは、悪徳貴族に対する事実上の宣戦布告だということだろう?

ハルカ嬢の身が心配になってきた」

「逆ですわよ、殿下。

これはハルカ嬢の連中への『私刑執行宣告』ですのよ」

「…これからどうなるんだ、この国は…。

ハルカ嬢に領土割譲…?」

「多分悪いようにはなりませんわ」


「こんな金額、払えるわけないだろ!」

ヨシチェックと同じ言葉を吐く悪徳領主。

だがその言葉に含まれる怒りは三日三晩煮込んだスープのような濃厚さだった。

「やられる前にやってしまえ!

国外にいるからって鷹を括ってやがる。

あんな小娘、サクッと攫ってきて、この俺が直々に首を刎ねてやる!」

「ライセンス違反の違約金支払い拒否でよろしいですかね?

あと、クラウディア国内の永住権取得者への殺害予告、クラウディア連邦政府への宣戦布告もセットで承りました。

アプリシア王国海軍の防空システムを幼少期のベニー社長が開発されたことはご存知かとは思いますが、ベニー社長がその防空網を突破する極音速飛翔体を開発されています。

戦争になればどちらが有利か、自明かと思いますが、再度確認します。

また法的にもこのライセンス契約はアプリシア王国の国内法での紛争解決手続きとしてアプリシア王国法務院をその機関とすることが定められており、国王陛下または王太子殿下が裁定責任者となります。

本当にライセンス違約金の支払いを拒否されるのですね?」

「……。

とはいえ、払えない…。」

「では、ベニー社長との個別交渉ということでよろしいでしょうか?」


有事の際は軍事力で頼らざるを得ないが故、王室も口出しできない悪徳貴族に対して一方的に好き勝手な要求ができる権利を勝ち取ってきた顧問弁護士が、その成果を報告する。

テーブルの上には書類と、二人分のようかんと緑茶があった。

ドヤァ。

ニヤァ。

弁護士とハルカはもはや表情で会話していた。

そして言う。

「この緑茶、まずいですわ…。

なんと言うか、味がしませんの」

「…社長、ハウス栽培の茶葉というのはやはりダメかと…」

「おほほほほ…実験は失敗でしたわね。やはり日照と昼夜の寒暖差も重要ですわね…」

「それで、次の手は?」

「農場買収ですわ」

「そっちじゃなくて」

「あぁ、悪徳領の方ね…」

「『悪徳領』って…」

「搾取したい領主にとっては民は愚かである方が嬉しいものですわ。

なので…」

「なので?」

「悪徳領内に学校を作りますわ」

「初等教育なら領内にもあったはず…」

「いいえ、幼少からITを刷り込む一貫校ですわ、おほほほほ」

「もしかして…」

「ええ、その領内にいずれ『アプリシアリージョンDC』も作りますわ」

「…すると、悪徳領主にも税を払う必要があるのでは?」

「ええ、ですがその頃には十分復讐は果たせていると思いますわ、おほほほほ」

「学校設立から向こう20年の収益モデル…作ってたのですか?」

「おほほほほ?」

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