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人は痛い思いをしないと学ばないのか  作者: 妖精さん


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第7話 2/10 国を憂う者

SIDE:総理大臣


私は現在の内閣総理大臣の阿武 隈岳(あぶ くまだけ)だ。


今証人喚問を受けている山本君を見つけ出し、S級・A級ダンジョンの間引きをお願いした張本人だ。


当時はまさかこんな事態になるとは思ってもみなかった。


山本君が『目立ちたくないから』というためひそかに報酬を渡していたことが裏目に出ている状況。


ここから打開するには山本君が実力を示さないといけない。が、テイムモンスターをここに呼ぶわけにもいかないだろう。なんせ30m級の巨大なモンスターだ。議事堂がつぶれてしまう。


山本君自身でさえ十分強いが、その強さを理解できる連中がここにはいない。


強さの証明をする前に週刊誌・テレビ・SNSなどで情報が拡散してしまう。八方ふさがりだ。


「阿武ちゃん。まずいことになったな。」


長年の親友であり、副総理である合津 万代(あいず ばんだい)が硬い表情のまま小声で話しかけてくる。


「ええ、現在の状況では対応がすべて後手に回ります。こうしている間にも情報が拡散してしまう。どうにかして山本君を守らなければ。」


必死に山本君に突き付けられたことへの訂正のために思考を巡らせているが、今ここでできることがない。一刻も早くこの証人喚問が終わればいいのに、野党のパフォーマンスが終わらない。


そんなことを考えている私に合津さんは首を横に振りながらさらに話しかけてくる。


「そうじゃない。まずいのはもっと直接的なことだ。彼が暴れればこの国は更地になるぞ。それに山本君が間引きを辞めたらどうする。12年ぶりの氾濫だ。」


そう合津さんが話してきた内容を一瞬理解できなかった。


少し時間をかけて理解した瞬間、冷や汗が流れ出した。


A級・S級ダンジョン内のモンスターが増えすぎるとあふれ出す。これが氾濫だ。氾濫を防ぐにはモンスターを倒して間引きする必要がある。


いくら広大なダンジョンでも一年程度モンスターを放置していれば氾濫が発生する。


A級ダンジョン7つ、S級ダンジョン2つが氾濫?12年前に逆戻りか?


「いや、まさか、大丈夫ですよね?この国が滅んでしまうことになりますよ。」


必死に合津さんに返答する。頭の中には12年前まで続いていた氾濫の様子が浮かんでしまう。モンスターが我が物顔で闊歩する様子をだ。氾濫が終息して12年、何とか復興してきて以前の氾濫した土地に人も戻ってきている中で、再度氾濫が起きればどうなるか。


ダンジョン周囲の再開発した地域は全滅だろう。一体どのくらいの国民が避難できるか。数万人は犠牲になるだろう。想像ができない。


「その国を滅ぼそうとしているのがあの燈九(バカ)だ。現実を知らず、知ろうともしない。都合のいいことだけを話して国民を扇動するしか能のないバカだ。」


吐き捨てるように合津さんがののしっている。普段から口は悪いが物事の本質を言い当てる人だ。実際に口先だけの無能で、政治的な考えは全くない燈九議員のことをうまいこと表現している。


「ただ、その燈九(バカ)のことを選んだのは国民だ。そして今そのバカの発言を真に受けているのも国民だ。最悪自分のケツは自分で拭かせなければならん。」


合津さんはそういうと発言をしている燈九議員をにらみつける。


今国民の代表が、この国の救世主を冤罪で弾劾しようとしている。そしてその流れは国民全体に広がっている。


誰が責任を取る?どこまで責任を取らせる?それまでに起こるであろう被害はどうする?考えがまとまらない。


民主政治の悪い部分が前面に出ている。衆愚政治とはよく言ったものだ。こうなってくると総理大臣という肩書がいかにちっぽけなものかがよくわかる。たった一人の冤罪すら訂正できないとは。


明るい未来が見えない。どうすればいい。どうすれば守れる。どうすれば…



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― 新着の感想 ―
最近はマシになってきたけど、選挙もなんでこいつがってのが当選してるもんなー
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