第8話 2/10 責任
SIDE:副総理 合津 万代
証人喚問が終了した。次は一週間後だ。
山本君の主張は一切聞き届けられていない。はなっから聞く気がねえなあいつら。
今回の茶番で世間一般の山本君の印象は最悪だ。公金横領・ダンジョンにおける不正行為。週刊誌や新聞、テレビにSNSと情報が広がるのが早すぎる。
あの燈九の唯一の特技がはまっちまったな。攻撃材料を手に入れるとあらゆる手段で拡散する。今回はすべてが後手に回っている。
これは訂正とかできるレベルじゃねえよ、阿武ちゃん。腹くくる必要が出てきやがった。
多分解散からの選挙でうちの党は壊滅的な議席減少となるだろう。ダンジョン氾濫に苦しめられてきたからこそ、ダンジョンがらみの失点はダメージがでかい。国民はバカに流される。
別にバカが政権を取ったところで無能だから、たいして仕事もできずすぐに政権交代になるのは目に見えている。
気がかりなのは山本君だ。優しい子だから国民の虐殺などはしないと思うが、今回のことで嫌になって協力を得られなくなるんじゃないか。またこの国の一割がモンスターに占領されるのか。あそこまで言われて、メディアでさらされているんだ。どの面下げてお願いするんだ。
ただ、自分の中の冷徹な部分がこうも言っている。『自分たちの選んだ道だ。好きにさせてやれ。』と。
氾濫が起きれば数万人単位で死者が出る。その数倍の遺族が発生し、避難者が続出。景気も冷え込むだろう。だが、それらは自分たちの選択だ。自分たちで選んだ代表の失策で起きることだ。責任は国民一人一人がとるべきだ。それが民主主義ってもんだ。ほかの党の連中の責任まで面倒はみられねぇよ。
政治家としてはあるまじき考えをしながらも、次回の証人喚問に向けて思考を巡らせる。
とりあえず情報漏洩で一色のやつは除名だな。あとは何とか山本君の実力を示してもらわねぇと。議事堂でテイムモンスター呼んでもらってアピールするか。ついでにバカを踏みつぶしてくれねぇかな。
そんなことを考えながらその日は更けていった。
数日後山本君が起こす事件で、一週間後の証人喚問がなくなることになるとは思いもしなかった。




