第6話 2/10 幸福の絶頂
SIDE:ダンジョン協会副支部長
「ダンジョン協会副支部長の里石 巴と申します。今日は山本将太氏の証人喚問にあたり、山本氏の勤務状況についてお伝えするためにまいりました。」
わざわざ呼ばれて来たが、証言もなにもないぞ。
「山本氏のダンジョン侵入の履歴に関しまして、山本氏が探索者免許を取得する22年前までさかのぼり確認しましたが、トータルで11回のみとなっています。」
本当にこの山本って探索者免許取ってからダンジョンに入ったことが11回しかないんだが。しかも短時間で退出しているようだし直近15年は侵入した記録もないし。
それにA級・S級ダンジョンには侵入の履歴すらないときた。あまりにもお粗末な行動だ。
本来は支部長が出る予定の証人喚問だったが、支部長は今の総理大臣と同級生だから不適切といって燈九議員が私を指名してきた。
燈九議員とは息子さんを通してずぶずぶだから、ある意味私も不適切なのだがそこはおくびにも出さずに対応する。
今回の不正な金銭授受に関して、おそらく支部長も絡んでいることだろう。
そこで私がこの功績を盾に支部長を追及し辞任に持ち込む。そうすればとうとう私も支部長に手が届くことになる。
「ダンジョン侵入に関しまして、A級・S級ダンジョンへの侵入は確認されておりませんでした。従いまして山本氏のダンジョンの間引きに関する発言は根拠に乏しく、信用できないということをお伝えします。」
そもそもC級探索者が間引きとか冗談にもほどがある。誰も疑わなかったのか。今回の一件で支部長以外にも何人か首が飛ぶし、当時ダンジョン防衛大臣だった今の総理大臣も責任取って辞任せざるをえないだろう。
「今回このような事態を引き起こすこととなりましたことを深く反省し、情報の共有を図るとともに責任の所在を追及していく所存です。」
責任取っていただきましょう。支部長殿。支部長が解任されれば繰上りで私が支部長に就任することになる。これからは私の時代になるということだ。楽しみでしょうがない。
「また、虚偽の発言を行い探索者の名誉を傷つけ、国民の血税を搾取した山本氏につきまして、ダンジョン協会副支部長の権限において、探索者の資格はく奪を宣言いたします。」
本来支部長にそのような権限はないが、ダンジョンに関する不正は国民すべてを敵に回す。ここでアピールしたほうがいい。
ああ、笑顔が出てしまう。押さえろ、まだ笑顔になるには早いぞ。国民の為に宣言しているんだ、真剣な表情を作るんだ。
これで私はダンジョン協会支部長、燈九議員は解散選挙でトップになるだろう。
我が世の春が来た!といったところだな。
狩人×狩人も好きです。自分が死ぬまでに完結して…
巴里=パリ
石=ストーン




