第23話 2/15 出入り自由
またしても警察署からお届けします。山本です。
あの後無事?警察の厄介になりました。
鉄格子あるからとりあえず鉄格子を握って、「俺は殺ってねぇ!本当だ!信じてくれ!」とかネタに走ってみた。本当に殺してはいないからね。
結果、誰も相手にしてくれませんでした。くすん。
んで、夕方まで檻に入ってたけど付き合うのもめんどくさくなったんで、空間転移で自宅に戻ることに。あ、置手紙おいておこう。『お腹すいたんで帰ります。山本』っと、これで良し。
ニュン!ってな感じで自室に到着。今日は鳥さんか、ありがとうね。
リビングに行くと母親が夕食作って待っていてくれた。
「お帰り将ちゃん。いろいろ大変だったねぇ。」
「ただいま~。連日で警察の厄介になったよ。」
お互い笑いながら話す。四肢落とすのを大変の一言で済ますとは、我が母ながら侮れないな。
「明日からどうするの?」
「うーん…今までの分のお金はあるけど、氾濫までの間何もしないのも暇だろうしなぁ…。」
「大立ち回りの前なら『いい加減仕事しなさい』っていうところだけど、今じゃどこも採ってくれないわよねぇ…」
そうだよねぇ…こんな人切りは面接前から落とされるよね。ご飯を食べながらこれからどうするか考える。
「あ、テレビつけていい?うちの県の特集番組やってる時間だし。」
「どうぞ、多分番組つぶれているんじゃないかしら。」
リモコン使ってテレビをつける。…が、そうだよな、どこも俺の話題で一色だよな。
あ、国営放送の教育だけは通常営業だ。しょうがないこれかけておくか。
たいして興味もない園芸のテレビを見ながらご飯を食べ終える。母は洗い物に向かった。これからどうするかなぁ…。
まあしょうがないから自分のニュースでも見るか。ぽちっとな。
『私は今〇〇警察署の前にいます。今回、11名の被害者が両手両足を切断されるという非常に凶悪な事件が発生しております。山本容疑者は現在あちらに見える〇〇警察署の方で取り調べを受けているものと思われます。』
おーいそこにはいないぞー。真実を知っているとちょっと滑稽だな。ほかの局は…っと。
『ダンジョンを間引きしたといって公金を横領し、11名もの市民を傷つけたことは非常に問題です。このような凶悪犯罪は歴史上見たことがありません。これは阿武総理の責任問題に発展することは間違いないでしょう。』
コメンテーターがなんか話している。11人で人の家に押し掛けてきたことは無視かい。ふーん色同 刻三ねぇ…ネットで調べたところ野党のお抱えみたいだな。んじゃしょうがないか。他のところに変えよう。
『私は今事件が起きた山本容疑者の自宅前に来ています。山本容疑者は「結界を張った」など話しをしており、現在近づく人の姿は全く見られません。この「結界」というものの範囲や性質などが分かっていないため、警察も不用意に近づかないようにとコメントを出しております。近所の方からのお話を伺っておりますそちらをご覧ください。』
あーそうか結界(10匹のテイムモンスターの反撃許可)の範囲が分からないから警戒させてしまったか。これは失敗したな。ちょうどいいから説明しに行くか。
『…近所の方からは人当たりの良い人といった情報が多く寄せられています。特に祖母の介護を熱心にしていた、母親と一緒に買い物をしていたなどの目撃情報も寄せられており、今回の凶行に至るまでに何があったのか解明がまたれるところです。それで「ちょっといいかい?」は?…え?』
俺登場!
「いやテレビ見てたんだけどさ、結界の範囲わからないってこと言われたから説明しようかと思ってきたんだけど、大丈夫?時間ある?」
「いえ…あの…山本…さんですか?警察にいるんじゃ?」
「空間転移で家に帰ってました。ちょうどテレビ見てたら結界の話し出てたからね。直接説明したほうがいいでしょ。」
「ちょっと!ちょっと待って下さい!確認をしますんで!」
アナウンサーと思われる人がスマホで、「プロデューサー!見てましたよね指示ください!」とか怒鳴っている。まあ落ち着いて。
他の局のカメラもこっち映し出したな。手を振っておこう。
あ、確認終わったみたい。
「なんかもうよくわかんないんですが!よろしくお願いします!」
「とりあえず落ち着こうか。」
他のテレビカメラも寄ってきた。ついでだまとめて説明していこう。
「ではでは今回の結界のことについて説明しますね。ほかの局の人も良く聞いておいてねー」
「今回の結界は自宅に対して発生しています。この自宅は家だけではなく敷地や門に関しても同様です。つまり、家や敷地や門などに対して攻撃することで反応し反撃を行います。」
うちのテイムモンスターたちがね。そこはぼかしておこう。
「反撃の内容に関しては特に明確にはしません。どのような報復があるのかはその時次第です。」
テイムモンスターが代わり番で対応するから特定の属性とかないんだよな。
「予想される内容としては、『石を投げれば跳ね返って自分に向かってくる』やられたらやり返すぞーってことです。跳ね返る勢いはその時の結界次第です。『塀に落書きをすると燃える』何が燃えるのかはお楽しみですね。『不法侵入しようとすればどこかに転移させられる』これは場所はランダムです。裏の川かもしれないし、土の中や火山の火口、はたまた海溝奥底の可能性もあります。さらに悪質なら…俺が相手になります。」
テイムモンスターに任せるより、実は俺の対応が一番穏当な件。昨日・おとといの一件からうちの子たちがたいそうお怒りでね。『敵を許すなー』って息巻いているんだ。30cmの姿で。かわいい。
「簡単に言うと悪いことしたら自分に跳ね返ってくるよーってことです。新聞配達とか宅配とかなら問題ないですよ。宅配を装ったりすると悪意が強いと判断しますが。とりあえずはそんなところですね。」
「えーっと…ありがとうございます。」
スタジオだかプロデューサーだかとやり取りしながら、なんとかアナウンサーがそう返してくる。このままだと質問攻めとかありそうだから退散するか。と思ったらパトカーが来た。
「山本さん!何やってんですか!てかなんでここにいるんですか!」
織田さんがパトカーから出てきて一言目には叫んでいる。血圧上がるよ?上げてるのは俺だが。
「まあまあ、とりあえずパトカー乗りますねー。」
そう言ってパトカーに乗り込む。織田さんも唖然とした様子。あ、運転手さんご苦労様です。
パトカーが発進する。少しだけ乗って再度空間転移。テレビカメラの前に出るように調整。
「はい!というわけで俺は空間転移ができます。これで少しは俺の実力が分かったかな?B級探索者は瞬殺(殺してない)できる。空間転移を使用できる。ダンジョンの間引きを嘘だといってたやつら、責任はきちんととれよ~。」
カメラに向かって話しをしているとUターンしてきたであろうパトカーがやってきた。
「なんなんですか!本当に!なんなんですか!」
「えっと、織田さん?落ち着いてね。」
パトカーから降りて一言目に叫びだす。もはやお家芸。そしてめっちゃ泣きそうな表情で向かってくる織田さん(おっさん)。かわいくない。
「空間転移ってなんです!?勝手にいなくなるとかもう対応しようがないじゃないですか!山本さんの対応をしろって言われてもどうしようもないじゃないですか!なんで俺なんですか!?俺のせいになるんですか!?どうしろっていうんですか!」
「いやなんかほんとにごめんなさい」
さすがに不憫に思って思わず謝ってしまった。




