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人は痛い思いをしないと学ばないのか  作者: 妖精さん


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20/25

第20話 2/15 獣は痛い目を見ないと学ばない。では愚者は?

SIDE:リーピン 本名:平和 立直(ひらかず たてなお) 職業:ヨウツーバー


「ん…?」


「あ、平和さん目が覚めましたね。先生!平和さん目を覚ましましたよ~」


女性の看護師が声をかけてきたと思ったらすぐに部屋から出ていった。ここは…病院?混乱しているとドアからさっきの看護師と医者らしき人が来た。


「平和さんおはようございます。私は担当医の黒田と申します。あなたは怪我をして病院に運ばれてきました。記憶はありますか?」


怪我?記憶といえば…


「たしか、山本の野郎に顔をたたきつけられて…」


顔を触りながら少しづつ思い出す。


「山本容疑者に何度も顔面を地面にたたきつけられていたんです。ああ、怪我自体はポーションを使い治療しました。」


容疑者?何があったんだ?ポーションで治療?


「あー…すみません。ちょっと記憶が飛んでいるみたいで。今日は何日です?何があったのか詳しく教えてもらえませんか?」


「ここに運ばれてからまだ一日しかたっていません。何があったかは…うーん…私の方からよりはちょうど警察の方も来ているので、警察の方から聞いた方がいいでしょう。今呼びますね。」


そういうと医者はスマホを取り出し電話をかけ始める。警察が来てる!?しょうがないおとなしく待つか。


「そうだ、助手の二人は?」


近くの看護師に尋ねると


「同じような状態で搬送されてます。安心してください。命に別状はありませんよ。別の部屋に入っています。」


「そうか…よかった。」


これで一安心だ。


「平和さん、連絡が取れましたので今警察の方が来ますね。」


「はい、わかりました。」


そうやって待つこと数分、すぐに警察がやってきた。


「失礼します。〇〇警察署の気通 貫一(きどう かんいち)と申します。今回の件で平和さんにお話を伺いたくまいりました。」


「どうも…平和 立直です…」


さすがに警察の聴取となると緊張するな。


「では私たちはこれで失礼します。何かありましたらナースコールを押してください。」


「ええ、連絡ありがとうございました。」


そういうと医者と看護師が部屋から出ていった。退出を見送ると警察官が口を開く。


「今回の事件ですが簡単にまとめますと、平和さんが山本氏の自宅門扉を破壊し敷地内に侵入、それに対して山本氏が平和さんの顔面を殴り、その後道路に何度も顔面をたたきつけた、ということになります。平和さんには器物損壊と住居侵入罪および肖像権侵害の容疑がかかっています。山本氏には過剰防衛の容疑がかかっています。」


「あれ?さっき医者が山本容疑者って言ってましたけど…」


「それはテレビで言っているだけですね。厳密には過剰防衛の容疑でしかありませんから。」


詳しく尋ねるがよくわからないので気にしないことにした。


「それで、これから俺はどうなりますか?」


「山本氏が器物損壊・住居侵入・肖像権侵害で訴えてきた場合はおそらく裁判になるかと思われます。が、今回の状況からおそらく平和さんのほうが有利になるかと思われます。」


にやりと気通が笑って話す。


「かなり激しくたたきつけられていましたからね。『やりすぎだ、正当防衛どころか過剰防衛にもほどがある』と世論が激しく山本氏をたたいていますよ。」


2-3回叩きつけられて気絶したと思うのでどの程度なのかわからない。そんなにひどかったのか?


「あの…俺気絶していて記憶がほとんどないんですが、そんなに激しく叩きつけられていたんですか?」


「じゃあ見てみます?生中継中のことなんで、切り抜きがヨウツーブにいろいろ載ってますよ。」


そう言って見せられたがゾッとする映像だった。多分気絶しているにもかかわらず顔面を叩きつけられている。血の海に沈んでいる自分を客観的に見ることになるとは思ってもみなかった。


自分のあまりにもひどい姿に絶句していると気通が話しかけてくる。


「実は種明かしをすると私は燈九 蓮宝(とうきゅう れんぽう)議員とつながりがあるんですよ。あなたも編集社経由でつながりがあると聞いていますよ。ですのでいくらでも山本を追い詰めていきたいのですよ。」


「なるほど、ご同輩ってやつか。」


お互い立場が分かるとちょっと安心した。


「じゃあこれから俺は山本を過剰防衛で訴えて行けばいいってわけだな。」


「そうですね。警察の方も協力は惜しまないでしょう。しかし、山本は強かったのですか?あなたはB級、山本はC級とのことでしたが。」


「…正直最初に殴られた瞬間のことは全くわからない。見えなかったんだ。気が付いたら殴り飛ばされて、次の瞬間には道路に叩きつけられていた。痛みはあったが叩きつけられてすぐに気を失ったし、何をされたのか記憶がほとんどないんだよな。」


不意打ちを食らったのかもしれないが実力は全くわからない。


「でも、警察が動いたんだからあいつは逮捕されるのか?」


「今のところ向こうの言い分も聞かなければなりませんからまだなんとも。ただ事情を聴くために今は警察署にいますよ。」


「へぇ……警察署に…」


なら今は家にいないってことだ。にやにやしながら気通に質問する。


「ポーションで治療してもらったらしいけど、これ今日退院しても大丈夫?動ける?」


気通も気が付いたようで同じように、にやつきながら返答してくる。


「外傷はポーションで治療済みですからね。脳の方にも影響はないとのことなので退院はできるかと思いますよ。ほかのお二人も同様です。配信用機器は本人確認ができたので今日中に返却しますね。」


何がしたいのかよくわかっているな。


「じゃあそれでよろしくお願いします。」


「わかりました。では先ほどの医師を呼んできますね。」


そう言って気通が退室する。


派手にやられた分やり返してやらないとな。さらすだけじゃたりねぇ。探索者仲間を集めて突撃してやろう。他の連中には顔を隠してもらって義憤にかられた一般人として家に火をつけてやろう。正義のためにってな。


お世話になった礼をしに行くから待ってろよ山本!帰ったときにお前の家なくても恨むなよ!



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