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人は痛い思いをしないと学ばないのか  作者: 妖精さん


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第18話 2/14 風雲急を告げる

はい、家でまったりしている山本です。


「わん!わん!(ご主人!外に人がいっぱいいるよ!)」


尻尾をぶんぶん振って犬ちゃんが報告をしてくれる。


まったり…していたいんだけどなぁ…。


カーテンの隙間から外をのぞくと、どうやらテレビカメラが家の前を占領しているようだ。近所の人の迷惑になるだろうが。


とうとう家まで来たか…。記者会見から3日。記者会見を開いたホテルを引き払っているのはちょっと調べればすぐにわかるからな。こっちに集まったみたいだが、俺がいることまでは知られていない…かな?。


テレビをつけるとニュースの中継で自分の家が映っている。


今のテレビは俺の話題か、ダンジョンボスを倒したっていう燈九 判図(とうきゅう はんず)の話題でひっきりなしだ。


会見後テイムモンスターを呼び寄せたタイミングで実は馬さんが戦闘中だったとは思わなかった。まあ実際は馬さんは戦闘とは思ってもいなかったようで、馬さんの認識では燈九 判図がじゃれついている程度だろう。


各地のダンジョンからテイムモンスターを引き上げたんだが、『ダンジョンからボスモンスターが消えたのは燈九 判図がボスモンスターを討伐した結果だ』とか話しが盛り上がっていてあきれてしまう。どこまで都合よく考えられるのだろう。


まあいいや。今のままでは氾濫は待ったなしだ。A級ダンジョンは100階層まで、S級ダンジョンは300階層まであるからな。ほかの探索者だとせいぜい30~50階層程度までしか潜れていないようだし。今まで俺のテイムモンスターが間引きしていた分が増えてあふれるまで一年。30層程度のモンスターを刈ったところでせいぜい数日くらいしか氾濫までのタイムリミットを引き延ばせないだろう。


あと一年か。ここまで大騒ぎになっていると、買い物に行くだけでも一苦労だ。ぶっちゃけ空間転移使うからマスコミに家の出入りの様子見られることはないが、カーテン開けられないのはイラつく。


近所の人は俺がどんな人間か知っていると思うけどマスコミとかに踊らされないとも限らないし。てか自称レイプ被害者が30人まで増えてるんだけど。なにこれ?ホテルに泊まっていた時に廊下を歩いていたら、部屋に連れ込まれてレイプされたとか言ってる。このホテルって祖母と母と三人で旅行に行った時のホテルじゃないか。宿泊名簿とかにそのこと書いてあるだろうに、ってことはホテルもグルってことか。ここのドアマンの人優しかったんだけどな。祖母を車いすに乗せるときに手伝ってくれたっけ。


思い出を汚されたようで不快感が募る。イライラが止まらない。だめだ、外のマスコミども薙ぎ払いたくなってくる。俺から手を出すわけにはいかないからな。一年…長いな…。


「シャー!シャー!(主様(ぬしさま)元気出して!)」


鮫ちゃんが頬にすり寄ってくる。鮫ちゃんは撫でたり触られるの好きだよなー。30mの姿だと鮫肌モードで触れないからその反動かな。


テイムモンスターを引き上げてからは何匹か家の中に常駐させている。過剰戦力だが俺がいないときの対策としてだ。30cmの縮小化している状態でも十分戦闘力は残っているし。なんなら30cmの姿でも猫ちゃんなんかは1mのダンジョンコアを転がしまくってた。ダンジョンコアは一層目に移動したことを後悔しているかもしれないな。犬ちゃんは口にくわえられないものには興味がない様子。よだれまみれにならなくてよかったね。


そういえばレベル差とかわかるようにできないかダンジョンコアに尋ねてみたが、「数値化?無理に決まっているじゃないですか!ダンジョンモンスターみたいにコピーできるならともかく、人間は全く同じ存在はいないんですよ!?『力』とか『素早さ』とか正確に設定するとか小数点でいくつまで掘り下げなくちゃいけないと思っているんですか!そんなことにリソース使うくらいならダンジョンギミックにリソース使った方が効率的です!あ、そうそうあたらしいギミック考えたんですよ。侵入者が床を踏むと横から丸太が飛んできて、それにあたって飛ばされた先の壁には電気が流れているんです!そして電気が流れ終わると同時に天井から檻が降ってきて閉じ込めて、さらに壁から今度は炎が噴き出る仕組みを…」となんか早口でしゃべられた。あいつ罠とかギミック好きだよな。あの井戸ダンジョンもひどかったし。罠コンボのゲームとか見せてみようかな。


ふと、イライラが減っているのが分かる。鮫ちゃんには感謝だな。


もう少し、あと一年の辛抱だ。


一年間俺が動かなければ氾濫が起きる。それを改めて解決する。それで俺の力を示しつつ今俺のことをたたいている連中を逆に叩く。俺のことを認めさせて見せよう。


よし、気分転換にちょっと外に出てくるか。鮫ちゃんに空間転移をお願いして近所の川の土手沿いに移動する。


川が流れているのをぼんやりと眺めながら歩いていると気分が落ち着いてきた。やっぱり気分転換は必要だよな。カーテン締め切りは息が詰まる。今度母親もつれてこよう。


そんなことを考えていると家にいたテイムモンスターから一斉に連絡が入った。


「わん!わわん!(ご主人!大変!)」犬ちゃんから。

「こん!こん!(主(あるじ)さま!大至急お戻りを!)」狐ちゃんから。

「ぼー!ぼー!(御母堂様に危険が迫っています!)」鯨さんから。

「シャー!!(門壊した!!許さない!)」鮫ちゃんから。


「家!空間転移!急げ!」





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