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第6話:魔王からの贈り物と、狂い始める歴史年表

数ある歴史ファンタジー作品の中から、本作を見つけていただきありがとうございます!


本作は、戦国時代屈指の悪名高き「爆死武将」である松永久秀の息子(久通)に転生してしまった元・化学メーカー勤務のサラリーマンが、将来の破滅(大爆死バッドエンド)を全力で回避する物語です。


【本作の主な成分(見どころ)】


理系内政チート:泥や糞尿から最高純度の火薬を密造! 石鹸を作って領内を勝手に近代化!


周囲の勘違い(過大評価):主人公はただ平穏に生きたいだけなのに、父親(久秀)や織田信長が「恐るべき謀略家」と勝手に戦慄! 


圧倒的な歴史改変:最強の顧客(クライアント)に織田信長を据え、戦国時代の年表をめちゃくちゃに書き換えていく爽快感!


ちょっぴりラブコメ:信長から送り込まれた勝気な監視役(お市の方)を、現代知識の美容・スイーツで知らず知らずのうちに骨抜きに!? 


戦国時代の知識がなくても、「現代知識による内政無双」「コメディ」「成り上がり」としてサクッと読めるuniversalな内容になっています。




少しでも「面白い」「続きが気になる」と思ってくださったら、ページ下部にある【★評価】や【ブックマーク登録】で応援していただけると、作者のモチベーションが爆発(※平蜘蛛のようにではなく)します!


それでは、化学メーカー勤務の戦国サバイバル、開幕です!

松永久通の『生存ルート(歴史改変)』予定年表まずは、私の頭の中にある「前世の史実」と、私が化学チートを始めてからの「今世の進行状況」を整理しておこう。


1560年(永禄3年)【史実】桶狭間の戦い。織田信長が今川義元を討ち取る。


【今世】松永久通(10歳)、前世の記憶を取り戻す。『生存戦略・近代化プロジェクト』を極秘裏に開始。




1561年(永禄4年)


【史実】松永家と筒井家の間で小規模な小競り合いが続く。  


【今世】『不破の戦い(初陣)』。久通、化学兵器(黒色火薬)と廃液(強アルカリ潤滑液)を使い、一兵も損なわずに筒井軍3,000を壊滅させる。


【今世】堺の商人・今井宗久と『清浄白石(せっけん)』の独占販売契約を締結。莫大な資金源を確保。




1562年(永禄5年)


【史実】織田信長と徳川家康が「清洲同盟」を結ぶ。


【今世】久通、尾張・清洲城にて織田信長と謁見。技術の独占供給契約を結び、織田家を「筆頭クライアント(優良顧客)」にすることに成功。


【今世】←今ココ!   


信長からの「監視役兼・婚約者候補」として、織田家のじゃじゃ馬姫・お市の方が大和に送り込まれる。


1577年(天正5年)


【史実】父・松永久秀と久通、信長に反旗を翻し、名茶器『平蜘蛛』と共に信貴山城で盛大に大爆死(滅亡)。


【今世】絶対に阻止。畳の上で大往生する。







「……よし、年表の管理はバッチリだ。織田信長という最大の破滅フラグはへし折った。あとはこのまま、大和の領地をのんびり近代化させていけば――」


私が自室でそんな未来予想図を広げて悦に浸っていると、バシャーーーン!! と激しい音を立てて障子が開け放たれた。


「お初にお目にかかる。織田弾正忠が養女――お市と申す。これなる久通殿が、噂に聞く松永の神童か」


我が城の謁見の間に、泥の付いた乗馬服のまま凛々しく佇んでいたのは、一人の少女だった。年齢は私と同じ十歳前後。


史実において「戦国一の美女」と謳われ、のちに浅井長政に嫁ぐはずの、あの信長様の妹(※作中では養女扱い)である。


まだ幼さは残るものの、その瞳には織田家特有の、すべてを見透かすような鋭い光が宿っていた。


後ろには、信長様からの「お守り役」として、これまたのちに名将となる柴田権六勝家が、凄まじい威圧感を放って控えている。




(……ちょっと待て。なんでお市の方がここにいるんだ!? 年表にないぞ!?)


私の脳内CPUがマッハで非常アラームを鳴らす中、お市の方はフッと不敵な、どこか信長様に似たじゃじゃ馬気質の笑みを浮かべた。


「兄上より、久通殿の『かんしやく』兼『こんやくしゃ候補』として、この大和へ赴くよう命じられた。久通殿、織田を裏切り、他国へその技術を売ろうものなら、この私が直々にそなたの首を刎ねてくれるゆえ、覚悟されよ」


そう言って、お市の方は腰の小太刀をパチンと鳴らしてみせた。 


十歳にしてすでに魔王の片鱗が見える。勝気というレベルを超えて、普通に生存を脅かすタイプのヒロインだった。


「は、はは……。織田家との信頼関係は絶対でございますので、裏切りなど滅相もございません……(助けて、胃が痛い)」 


私が前世の営業マン時代に培った引きつった笑顔を浮かべていると、背後から「フハハハハ!」と、我が父・久秀の聞き馴染んだ大高笑いが響いた。





「素晴らしい! まさか天下の織田信長が、我が息子をそれほどまでに警戒し、かつ欲したか! 監視役という名の『人質』であり、同時に松永を繋ぎ止めるための『極上の婚姻』……! 織田のうつけ、なかなかどうして、策を弄するではないか!」


(父上、お願いだから相手の目の前で『人質』とか『婚姻』とか言うのやめて!?)


久秀は私とお市の方を交互に見つめ、実にも邪悪な(勘違いに満ちた)笑みを浮かべた。


「よいか久通、その織田のじゃじゃ馬娘を、お前の『化学』の力で骨抜きにしてみせよ! 織田の姫が松永に染まれば、それこそ織田家を内側から乗っ取ることも夢ではないぞ! ククク……!」


「……ほう。松永のクソ義父殿は、随分と面白いことを仰る」


お市の方の額に青筋が浮かぶ。


柴田勝家に至っては、すでに柄に手をかけている。


初日から完全に、私の生存年表が白紙に戻りそうなほどの修羅場だった。






その日の夕方。私はお市の方の機嫌を少しでも取るため(というか、機嫌を損ねて信長様にチクられたら即ゲームオーバーなので)、彼女を私が管理する「最新の研究工房(化学プラント)」へと案内していた。


「ふん。大和の山奥で怪しげな泥を弄んでいると聞いたが、これがその工房か。……む? 何だこの匂いは」


お市の方は、工房内に漂う爽やかな薬草と、ほのかに甘い香りに鼻をピクつかせた。


「お市様、こちらが我が松永の特産品、信長様も大絶賛された『清浄白石』の武具製造の列でございます」


私は、切り分ける前の、薔薇の香りを配合した最高級のピンク色の石鹸を差し出した。


「お市様、旅の垢でお疲れでしょう。これで顔や体を洗ってみてください。南蛮のシャボンよりも肌に優しく、汚れが劇的に落ち、何より――お肌が絹のようにツヤツヤになります。戦国一……失礼、日ノ本一の美しさを誇るお市様にこそ、使っていただきたい逸品です」





前世の化粧品メーカーとの共同開発で得た、女性向けマーケティングの「褒めちぎり営業トーク」を全力で叩き込んだ。


「な、何を破廉恥なことを……! 私は兄上より預かった織田の刃、そのような軟弱な南蛮の泥など――」 


お市の方は最初、ツンと顔を背けていた。


しかし、いざ中庭の井戸端で、私が実演して見せた「モコモコの泡」と、その泡から漂う上品な花の香りを目の当たりにすると、少女らしい好奇心には勝てなかったらしい。


「……す、少しだけ、試してやる。そなた、あっちを向いておれ!」


そう言って、お市の方は手桶の湯で顔と手を洗い始めた。


数分後。


「……っ!?」という短い悲鳴が聞こえ、私が振り返ると――。





そこには、夕日に照らされ、自らの両手と、水鏡に映る自分の顔を呆然と見つめるお市の方がいた。


戦国時代の粗悪な洗顔環境では有り得ない、現代クオリティの洗顔効果。


毛穴の奥の汚れまで綺麗さっぱり落ち、モチモチになった自分の肌に、彼女は完全に言葉を失っていた。


「どうですか、お市様」


私が微笑みかけると、お市の方は顔を真っ赤に染め、今までにないほど激しく動揺しながら私を指差した。


「そ、そなた……! なんという恐るべき男だ……!」「はい?」


「このような、女子が一度使えば二度と抗えぬような妖術の塊を、平然と作り出すとは……! 兄上が『あ奴は技術で天下を狂わせる怪物だ』と仰っていた意味が、今ようやく分かったわ……っ!」




お市の方は、自らの胸をぎゅっと押さえ、上気した顔で私を睨みつけてきた。 


「肌が、吸い付くように滑らかで、心地よすぎる……。このようなものを与えられたら、私は一生、松永の、そなたの術中に嵌まってしまうではないか……! 謀略か!? これも私を籠絡するための、松永の恐るべき謀略なのか!?」


(いや、ただの洗顔フォーム感覚の石鹸です。籠絡するつもりなんて1ミリもありません!)


「お、お市様、それはただの――」


「黙れ! 私は織田の姫じゃ!、そう簡単に松永の不埒な罠には屈せぬ! ……だが、その、この白石は毎日、私の部屋に届けるように! 良いな!?」


ふんっ! と、お市の方は真っ赤になった顔を隠すようにして、足早に自室へと去っていった。


その後ろ姿を見送りながら、私は深いため息を吐いた。


どうやら、魔王の監視役であるじゃじゃ馬姫までもが、私のことを「女の心を技術で支配する、底知れぬ恐怖の神童」と盛大に勘違いしてしまったらしい。




私の作った「歴史改変年表」は、お市の方という予想外の不確定要素(ヒロイン)によって、すでに史実とは全く違う方向へと、より急速に加速を始めていたのだった。

第6話までお読みいただき、本当にありがとうございました!


生存ルートを確保したと思ったら、魔王・信長様からまさかの「じゃじゃ馬監視役(お市の方)」が送り込まれてきてしまいました。


久通としては胃に穴が空きそうな修羅場ですが、前世の化粧品メーカーとの共同開発知識(美容営業トーク)で、なんとか初日のデスフラグはへし折れた……のでしょうか?(笑)


お市の方も、ツンツンしつつも現代クオリティの石鹸(泡)の魅力には勝てなかったようです。女子の美への執念は戦国時代でも健在ですね。


「俺はただ爆死したくないだけなのに……」という久通の心の叫びを余所に、外堀がどんどん埋まっていく勘違いラブコメ(?)展開も楽しんでいただけたら幸いです!

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― 新着の感想 ―
やべえ。お市様は女信長だ。
くっころのじゃろり姫とか属性多すぎて
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