READY?
小学生の時からの高嶺の花、智恵子ちゃん。
俺が普通の男子小学生と思い込んでいた頃は憧れていた。
いつもきらきらしていて、優しくて、少し大人しくて、明るくて、マリア様のようだった。
中学のあの頃までは…。
夏休み、体育祭までおよそ一月。
俺は応援団に立候補して、見事その座を勝ち取った。
俺のクラスは2組で青団。
応援団のメンバーは、俺、海月、智恵子ちゃん、翼。
体育委員枠で、空ともう一人の奴も応援団になっている。
奇しくも超能力者4人組が揃った。
応援内容は3年生が考えるので暫く活動はしない。
受験勉強、大丈夫なのだろうか?
それはともかく運動会。
1年生はリレー、台風の目、希望者のみの障害物競走、全員参加応援団をすることになっている。
他3人…翼、海月、空は台風の目で共に走るらしい。
ただし、翼は言っていた。
台風の目は初めてだと。
越境生なので、恐らく奴の母校ではやらなかった競技なのだろう。
そしてもう一つ。
もうすぐ合唱祭がある。
俺達の学校には運動会の団でも合唱をするらしい。応援団メンバーは前に出て、メンバーだけで歌うパートもある。
個人的にはそこの方が心配だ。覚えられる自信がない。
すると翼は言った。
先輩に一緒に練習しませんか?て誘われたから君たちも行く?
と。
先輩というのは永見先輩のことだ。
おさらいだが、俺ら4人は宇宙の彼方にあるズヴィズダー星と地球のハーフ、エーデルウィズ。
先輩は純粋な宇宙人、つまりズヴィズダー人ってことになる。
それはさておき、週末先輩の家で合唱の練習をすることになった。
そして週末。集合場所は中学から徒歩10分余りの駅。
別の地区からきた翼に気を使っているのだろう。
朝九時、俺は駅の3番出口にいた。
今ここにいるのは俺と空。
今日の空の服は世に言うガーリー系だろう。
俺の全身真っ黒服と比べたら何倍も洒落ている。
続いて、海月がやってきた。
海月の服はThe中学生なスポーツ系男子の服。
ぶっちゃけエーデルウィズに生物的な性別は無いに等しいけど、系統がそれ。
最後に翼が来た。
電車だから少し仕方がない気がする。
服装はいつも通りの甚兵衛。
翼除く3人はあんまり奴と遊んだことは無いが、学校外で会うとだいたいこの服を着ている。
今日は晴れのような曇りのような空。気温は34℃。暑い。
9時25分、先輩が来た。
本来の集合時間5分前だ。
「あら、皆早かったね。遅れてごめんね。待った?」
「少し待ちました」
「そっか、じゃあ行こうか。」
先輩の家は駅から徒歩10分のアパート。
周りには空き地が少しばかり広がっている。
「さ、ついたよ。階段気をつけてね」
先輩の部屋は201号室。先輩は玄関の鍵をカチャリと開けた。
「ただいまーッ!」
「おう、おかえり」
「おかえりーッ!」
返事をしたのは先輩の相方的存在宇宙、寺乗さん。
この人も宇宙人で、まあよくわからない人だ。
というより、あと一人は誰だ?
「お邪魔します」
全員でそう言って入った。
部屋はやや汚い。
先輩は言った。
「そういえば彼奴と会うのは初めてだよね。紹介するよ」
そう言って、一人の人物を連れてきた。
その人は青磁色の髪をしていて、とても澄んだ目をしている外見少し幼い好青年な高校生っぽい人だった。
多分、先輩の仲間ということは宇宙人なのだろう。
先輩は指を指した。
「この子は星茶葉。俺の仲間でとてもいい奴さ。仲良くしてやってくれる?」
星茶葉と呼ばれた宇宙人は言った。
「初めまして!僕、星茶葉舐瓜っていいます!よろしくです!」
「初めまして星茶葉さん。僕は未期翼です。能力なんですか?」
「おおお!君がよく永見が話している翼ちゃんか〜。能力はね〜レーザー撃てるよ!
三分の二で命中する。(多分)」
「へー。凄いですね」
「お友達はなんて名前なの?一人づつ教えて」
「俺は時雨 水雲です。能力は音速で物をぶっ飛ばす事ができます」
「なるほどね…音速投球できるのか。凄いね!次」
「自分は夏月海月です。能力はミサイル作ってぶっ飛ばせます」
「物騒な能力だね…気をつけてね!次」
「恒常 空です。能力は超ほんの少しだけケガの回復できます」
「純粋宇宙人でもあんまり見つけないよ、君の能力。レアだね」
「ま、君たち合唱の練習に来たんでしょ?俺と寺乗邪魔でしょ?ちょっと奴連れて外食してくるわ」
「え、寺乗さん住んでいたんですか?」
「あれ?翼ちゃんでも知らなかった?一応僕、寺乗、永見はこの部屋で同居しているよ。1人1部屋だと他の部屋なくなるし。あ、1人は地球で部下作っちゃったから1部屋あげてるよ」
「そうなんですね…じゃあこの話って他の部屋の人とか廊下を通ってる人に聞かれたらまずいんじゃ…」
「それは安心して。このマンション、僕らが発見、保護した宇宙人のみ住んでいるから。」
「そんなに宇宙人っているんですね。知らなかったです。」
「ズヴィズダー人以外にも案外いるからね。宇宙人。触手型とか。」
「じゃあ寺乗連れて出るね。寺乗ッー!」
「おうなんじゃ?」
「ネカフェ行こうぜ」
「ん、別にいいぜ」
「じゃあ来い」
カチャリとドアが開いた。
黒いノースリーブニットに少しゆったりした黒い長ズボン。
白い白衣のような上着は片方肩落としできている。眼鏡はいつも目が見えないようなぐるぐるメガネだが、今日は普通に目が見える。
奴の目は真っ赤な真紅の目をしている。
「あ、他の奴もいるのか…」
「悪かったですか?」
「悪くはない。」
「そうか。」
寺乗は鞄をさっと取り、玄関を開けた。
星茶葉もチョコチョコとついて行っている。
「さ、他人もいなくなったし…練習を始めましょ」
先輩は笑顔のような表情を浮かべて言った。




