第十二話 進化先
(ユウト、魔物の進化って知ってるか?)
「知ってるよ。群れのリーダーとか永く生きた魔物とかが、強い魔物に変わるんだって。でも結構珍しいらしいよ。僕もまだ見たことないな。」
(そうか。)
「どうして聞いたの?」
(どうも進化できるようになったっぽいんだ。)
「本当?!何になるの?!もしかしてドラゴン?!」
(まぁ落ち着け。まだ分からん。)
ユウトの目が輝いている。
好奇心満々だ。
そりゃそうだろう、俺だって楽しみでならない。
候補は全部で4つか。
一つずつ見てみよう。
情報開示さん、お願いします。
≪ホワイトトカゲモドキ≫
≪白いヤモリ。
ヤモリであるが壁を登ることは出来ない。
その体と瞳はとても美しく、ペットとして人気が高い。
個体数が少なく、状態の良い個体は馬一頭と同じ価格で売買されることもある。≫
≪ハンマーテール≫
≪尾が異様に発達したトカゲ型の魔物。
巨大な尾を振るい、亀や蟹を砕いて捕食する。
動きが遅くいため捉えるのは容易だが、全身が鱗に覆われており硬い。≫
≪ムササビゲッコー≫
≪空を飛ぶ、ヤモリに似た魔物。
足の間に飛膜があり滑空することができる。
ヤモリと同じく壁や木を登り、頂上から滑空することが多い。
動きが速く行動範囲が広いため、捕獲するのは困難。≫
≪ライトニングシャドウ≫
≪淡く発光する魔物。
見た目はトカゲに近いが、非常に素早い上に性格が臆病なため、実際に見た者は少ない。
夜、森に走る光の線を見かけたら、それはライトニングシャドウだと言われている。≫
んーなかなか面白そうなやつが多いな。
ホワイトトカゲモドキはやめた方が良さそうだが………
元々白いから進化先に入っただけっぽいし。
ハンマーテールはドラゴントカゲモドキの正当進化な印象がある。
今の俺の主力スキルは”しっぽをふる”だし。
攻撃力&防御力重視な感じかな。
亀も砕けそうな一撃には魅力を感じる。
ムササビゲッコーは何と言っても”空を飛ぶ”ってのが良い。
最も楽しそうな進化先だ。
滑空するだけとはいえ、ヤモリのように壁を登れるなら飛び立つのも簡単だろう。
んー飛んでみたい。
最後のライトニングシャドウは称号”電光石火”の影響かな?
中二病的な名前の響きが気になるが、この中では一番速く動けそうだ。
思ったより選択肢が多い。
どれにしようか悩んでいると、ユウトが堪らずに聞いてきた。
「ねぇねぇ、どうだった?」
(なかなか面白そうなのが多いぞ。)
「どんなの?」
(まずはな…)
ユウトに進化先を説明する。
「トカゲとかヤモリとかばっかりだね。」
(そらそうだ。元々トカゲみたいなもんだし。)
あからさまにがっかりするユウト。
失礼なやつだ。
「でも知らなかったなぁ。魔物が進化する時は、自分でどれになりたいか選べるんだね。」
(んーそうなのかな。)
俺は”ステータス閲覧”を持っているから進化先が分かったが、普通の魔物はどうするんだろうな。
きっかけもなく突然進化するんだろうか。
まあ良いさ、考えていても仕方がない。
とりあえず進化をしてみようじゃないか。
(よし、俺はムササビゲッコーになるぞ!)
「え?もう決めちゃうの?」
(最初に悩んでいても仕方ないからな。)
もちろん迷いはあるが、俺は空を飛んでみたい。
その後も飛べるものに進化しそうだし。
でもこれ、どうやって進化するんだ?
情報開示さん、俺ムササビゲッコーになりたいんだけど。
≪────。≫
安定の無言である。
叫ぶとか?
(ムササビゲッコ────!!! )
「何?!どうしたの?」
(いや、叫んだら進化できるかと思って。)
しかし何も起こらない。
ユウトは突然大声を出した俺にビビっている。
テンション上がり過ぎてたな…
確かにオカシイ奴だと思われても仕方ない。
以後気をつけよう。
進化先をイメージしてみるとか?
空を飛びたいと思ってみるとか?
他にもあれこれ試してみたが結局進化は出来ず、カモリ村に到着してしまったのだった。




