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第十一話 村への道

カモリ村への帰り道、ユウトは今日の獲物の魚と蛇を運んでいく。

そして肩には"白いトカゲ"が乗っていた。


ユウトは俺を家に連れて帰ることにしたのだ。


俺はユウトの家に行くべきかどうか迷った。

しかし、"帰れば御飯があるよ"との提案をされれば断ることなど出来ない。

そう。

絶対に出来ないのだ。



「ねぇ、何で僕の名前が分かったの?」


(あぁ、俺は人の顔を見れば名前が分かるんだ。)


「何それ?すごいね。」


(まぁ……そういえばそうだな。あんまり考えてなかったけど。)


「君の名前は何て言うの?」


(まだ名前はないよ。)



この世界に来る前、名前があったはずなのだが思い出せない。

トカゲになってからの名前もまだない状態だ。


────そもそも今まで誰とも会ってなかったからな。



「そっか。喋れるのに名前がないと不便だね。」


(そういわれればそうかな。何かいい名前はあるか?)


「え?」


(決めてくれれば楽かと思ったんだが。)


「んー………」



ユウトが変な顔をしている。


今日会ったばかりの相手に"自分の名前を決めてくれ"というのは、流石に丸投げ過ぎたか。


困らせてしまったな。



「君はまだ知らないかもしれないけど、人が魔物の名前を付けるって言うのは”契約を結ぶ”ってことなんだって。言葉が喋れるってことは、君はたぶん魔物だよね?」


(確かに俺は魔物らしい。”契約”ってのは?)


「信頼しあった人と魔物がパートナーとしてずーっと助け合っていくってことだよ。………まぁ僕にはまだパートナーがいないから、良くは分からないんだけど。」


(なんだ、そういうことか。悪い、それは気軽に頼めることじゃないな。)


「まぁね。契約を結ぶ相手はしっかり選んだほうがいいよ。」


(ハハハッ、俺から選べるとは思わないけどな。わざわざトカゲを選ぶ相手なんかいないだろ。)


「そうかな?言葉が喋れるのは珍しいんだよ?」


(そうなのか。どれぐらい珍しいんだ?)


「全然いないわけじゃないよ。ドラゴンは大体喋れるし。」


(おぉ、ドラゴンがいるんだ。)


「いるよ。幼馴染のパートナーもドラゴンだし。」


(それは………会ってみたいような会ってみたくないような………)



会った瞬間食べられたりしないだろうな?

というかドラゴンを引き連れた幼馴染ってどんな奴だよ………

俺が幼馴染とドラゴンの妄想を膨らませているとユウトが笑って言う。



「ベガは良いドラゴンだよ。速いしカッコいいんだ。」


(あぁ、お前の師匠はドラゴンだったのか。)


「師匠?ん~師匠かは分からないけど、剣の練習を手伝ってくれてるよ。」


(ふーん、そんなもんか。)


「家に帰ったら紹介するよ。」


(そのドラゴンが俺を食べないならな。)


「大丈夫だって。心配性だなぁ。」



警戒する俺が面白いのか、ユウトはまだ笑っている。

そして”ベガの弟子”って称号は自覚がないようだ。


称号は一体どうやって決まるんだろうか?

他についてもまだ分からないことだらけだな。


確か剣術(想像)とかあったし。



(ユウトはベガから剣術を習ってるのか?)


「ううん。ベガはドラゴンだから剣は使えないよ。だからいつも、飛んでるベガに向けて枝を振ってるんだ。でもベガは速いから全然当たらないんだよ………」


(他に誰かから習ったりは?)


「してないよ。本当はアカリのお父さんから習いたいんだけど、忙しいから。」


(アカリ?)


「うん。ベガのパートナーの幼馴染。お父さんが凄い騎士なんだ。」


(そうなのか。騎士の子供がドラゴンと契約してるって………なんか凄い家族だな。)


「でしょ?」



自分のことではないのに何故か自慢げなユウト。

ドヤ顔が微笑ましいから突っ込まないでおこう。



聞いた内容から推察するに、剣術(想像)はきっと”誰かに習った訳じゃない、我流の剣術”ってイメージだな。


ユウトはいつも素早いドラゴンに向けて剣の練習をしている。

だから蛇が突っ込んできても頭を叩けたわけか。


────ん?



(そのベガってドラゴンはどんな大きさなんだ?飛んでるドラゴンなんて近寄れないと思うんだが。)


「んーこれぐらいかな。」



ユウトが手で大きさを表している。

50cmぐらいだろうか。



(…ちっさいな。)


「ベガの前で言っちゃダメだよ?気にしてるんだから。」


(了解。気をつけるよ。)



そういう俺も、ユウトのサイズから考えるに20cmぐらいしかない。

今の俺から見るならベガはまさしく竜に見えることだろう。



「もうそろそろ村に着くよ。」


(おお、楽しみだな。)


「別に何にもない村だけどね。」


(ずっと巣穴に籠ってたからな。村ってだけで新鮮なのさ。)


「そっか。」


(それより俺が村に入って大丈夫なのか?これでも一応魔物なんだが。)


「大丈夫だと思うよ。魔物なんて珍しくないし、結構サポーターとして魔物と一緒にいる人もいるしね。」



随分と寛容な世界だな。

魔物になった側からするとありがたいことこの上ない。


『魔物は皆殺しだ!』みたいな世界であれば、俺は一生まともに人と話すことなど出来なかっただろう。

あの創造主がこの世界を作ったのならば、感謝しておくとしよう。


そんなことを考えながら、なんとなく自分のステータスを確認してみると。



===============

【名前】なし

【性別】♂

【年齢】0歳

【種族】ドラゴントカゲモドキ Lv5 Up

  No.1 かみつき Lv1

  No.2 うろこ Lv1

  No.3 しっぽをふる Lv3 Up

【ステータス】

 体力:G- 攻撃:G 防御:G-

 敏捷:G+ 精神:S 魔力:G-

【称号】

 ◼創造主の加護

  No.1 念話 Lv2 Up

  No.2 ステータス閲覧 Lv2

  No.3 情報開示 Lv2

  No.4 成長加速 Lv2 Up

 ◼捕食者

  No.1 気配察知 Lv1

  No.2 補食 Lv2

 ◼電光石火 New

  No.1 加速 Lv2 New

  No.2 感覚加速 Lv1 New

 ◼―

 ◼―

【進化先】

  No.1 ホワイトトカゲモドキ

  No.2 ハンマーテール

  No.3 ムササビゲッコー

  No.4 ライトニングシャドウ

===============



そこには【進化先】が現れていた。


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