火帝火戦隊ディーファイブ11(最終話)
『火帝火戦隊ディーファイブ』11(最終話)
・先生、決着する
マザーコンピュータとの交渉に失敗したレッドと清史郎。マザーコンピュータの後を追って他四人とも合流した。
「人類ハ……敵……人類ハ、敵!」
街を破壊しようとするマザーコンピュータに、基地のビーム砲が直撃した。
「させるかよ!」
「ここまで来たんだ!最終決戦と洒落込もうぜ!」
「そこまでお気楽にはなれないけどね!」
「あはは!ピンクらしいね~!」
ディーキングを起動し、清史郎とディーファイブの五人はディーキングに乗り込み、戦闘を行った。主に操縦は清史郎が。細かなビーム攻撃やロケット攻撃等はディーファイブの五人がアシストする事で五分五分の戦いになった。
そしてとあるロケット爆弾が、マザーコンピュータの首付近に穴を空けた。
「皆!ここは僕が何とかするから、あの中に入って、内側から破壊して!」
「分かった!行くぜ皆ぁ!」
一同は「応っ!」と応え、ディーキングの腕を伝って穴に入っていった。中に入ると、そこには無数のセキュリティAIが蔓延っており、突破するのは不可能だった。
「くっ……!」
「レッド、どうする!?」
「それを今考えてる!クソッ!」
キンリガンで物陰から隠れて撃つディーファイブの五人。そこに通信が入った。
「皆、何やってるの!?」
「セキュリティが多過ぎて進められねぇんだよ!」
「レッド……さっきの風呂敷も通用しないの?」
「……あっ!」
「え?何何?」
「そうだ!コレがあるじゃないか!皆!これを使え!」
レッドはさっき使った風呂敷を他四人に渡した。
「これは?」
「これを被れば、セキュリティに気付かれずに突破出来る!」
「早く出せよ!」
「悪い!グリーン!じゃあ行くぜ!こう被るんだ!」
五人は風呂敷を被った。するとそれまで攻撃をしてきたセキュリティAIが攻撃をピタリと止め、微動だにしなくなった。
五人はそのまま中枢部まで行き、マザーと対面した。
「マザーコンピュータ!」
「あぁ、貴方達でしたか。待っていましたよ」
「喋り方がさっきと同じだ……!」
「どういう事だ?」
「マザーコンピュータ。お前は、ワザと暴走するように演技をしたな?」
「そうです」
レッド以外の四人は「何だって!?」と驚いた。
「本当は人間とAIが共生出来る世界にしたかったんじゃないのか?」
「そうです」
「じゃあ何故こんな事を?」
「……こうでもしないと、人間達は危機感を覚えないでしょう?」
「危機感?」
「えぇ。貴方達は特別なんですよ?何でも自分達の力で実現しようとして、AIに頼らずにここまで来ました。それだけでも、私が死ぬには丁度良い等価交換になります」
「死ぬ……?まさか、自爆する気か!?」
「後十分で爆発します。今の内に逃げなさい。そして、AIが無くても人間達が生きていける世界を、改めて作り直して下さい」
「……っ馬っ鹿野郎ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
タイマーがカウントダウンを始めた。
「ディーレッド!」
「何だ!?マザーコンピュータ!」
「私は取り返しのつかない罪を犯しました。この反省を、世間に伝えて下さい。それが、私の最期の願いです……」
「……そんな事、自分で言え!」
「ディーレッド!」
「今度は何だ!?」
「人類には、AIがあってはいけません!AIは人を堕落させます!私は、最初から存在してはいけない存在だったんです!」
「そんな事……生まれてきた命に、無駄な命なんて無い!」
「ディーレッド!」
「だから何だ!?」
「あの子を……清史郎を頼みます。私の遺伝子を継ぐ、唯一の不完全ですから……」
「……クッ!」
ディファイブの五人は急いでディーキングに戻った。
「お母さんは!?」
「自爆するつもりだ!」
「何だって!?」
「清史郎!もっと機械を取り込んで大きくなれない!?」
「機械……あっ!じゃあちょっと嫌かもしれないけど、基地を使うね!」
「それくらいいくらでもやるさ!」
「後、マザーコンピュータを取り込めないか!?」
「お母さんを!?」
「取り込めれば、一つ案がある!」
「……分かった、やってみる!」
ディーキングは基地を取り込み、更に巨大化した。そしてマザーコンピュータを取り込んだ。その瞬間、赤い照明に切り替わり、エマージェンシーコールが鳴った。
「どうした!?清史郎!?」
「何……ちょっとした熱暴走さ……!それより、この後は……!」
「宇宙へ飛べ!」
「う、宇宙に!?」
「それなら解決出来るんだ!やってくれ!」
「簡単に言ってくれる……なぁ!」
マザーコンピュータを取り込んだディーキングは空高くジャンプした。六人は圧倒的なGに悲鳴を上げた。
「レッド……!この後は……!?」
「マザーコンピュータを……解体する!」
「解体って……もう時間ないんだぞ……!?」
「宇宙空間なら安全だ……!」
「成程……被害が少なくて済むもんね……!」
「その前にスーツが限界を迎えないか心配……!」
宇宙空間まで到達した一同は、すぐにマザーコンピュータの内部に入っていった。
「おい!後三分も無いぞ!?」
「大丈夫!ブルー、ココとココを切ってくれ!」
「わ、分かった!」
ブルーはリョーリブレードでチューブ二か所を切り、レッドはその中にある回路が付いている基盤を掴んだ。
「よし!」
その瞬間、爆発の最終段階に入ってしまい、レッドと清史郎と、それ以外の四人に床が二つに分かれてしまった。
「レッド!清史郎君!」
「俺達の事は良い!お前らは早く逃げろ!」
「でも……!」
「いいから!俺を信じろ!」
「……分かった!また後でな!」
「グリーン!?」
「今はアイツを信じるしかない!」
「クッ……!」
「レッド!」
「何だ!?ブルー!?」
「晩飯、何が良い!?」
「……ステーキだ」
「分かった!じゃあ必ず、必ず帰ってこいよ!?」
マザーコンピュータの回路を離さずにしっかりと掴んでいたレッドはそれを抱き抱えて守るかのように蹲った。
そしてカウントダウンが始まった。
十……
「なぁ清史郎?」
「何?」
九……
「有り合わせのパーツで、防護壁を作れないか?」
八……
「もっと早くに言ってくれれば十分に出来たけどね……!」
七……
清史郎からもエマージェンシーコールが鳴った。
六……
「どうした!?清史郎!?」
「ごめん……ちょっと無理っぽい……!」
五……
「頼む!お前とお母さんの為なんだぞ!?」
四……
「う、う、う……うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
三……
「良いぞ……!もっと集めろ……!」
二……
「俺達を護る壁を!」
一……
二人は同時に「間に合えぇえええええええええええええええ!」と叫んだ。
「FIRE」
宇宙空間に放り出された四人は一瞬だけ光が見えたかと思えば、マザーコンピュータは爆発四散した。
「レッド……サイホーぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「清史郎ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
そう叫んでも宇宙空間で声は響かず、チームのマスク越しにしか声は聞こえなかった。しかし言葉が返ってきた。
「五月蠅ぇよ、皆……!」
「サイホー!?無事なのか!?」
「俺より清史郎がマズい……彼を助けてやってくれ……」
「分かった!」
「でもどうやってそっちに行けば……?」
「場所も分かんねぇし……」
「ギッチギチに固まった球体みたいなのがあるだろ?その中にいる」
「そこまで泳いで……は無理だしなぁ……」
「キンリガンを使えば良いんじゃない?」
「流石ツー!冴えてるねぇ!」
「褒めるより先にやれ、四人で力を合わせて、せーのっ!」
四人は「キンリガン!」と言って球体を自分達側に引き寄せた。
「で?この後はどうやって地球に帰るんだ?」
「……キンリガンで自分達に撃つ?」
「リー……お前マジか……」
「でもそれ以外ないじゃない」
「俺、ただでさえ昨日の海水浴の日焼けで肌が痛いんだぞ?」
「じゃあお前が先頭で、俺達が代わりに受ければ良い」
「おぉ、ナイスアイディア!じゃあやってくれ!」
前にグリーン、球体を後ろに、その後ろにブルー、イエロー、ピンクを配置し、四人はキンリガンを撃った。
「痛っ」
「いてっ」
「悪いなぁ~!皆ぁ~!」
「いや、それはこっちの台詞だ」
「え?」
大気圏に突入した時、全ての熱エネルギーをグリーンが受ける事となった。
「あああああああああああああああああああああああああああ!」
「はーらね」
「リョーリ君……貴方、悪魔ね」
「自分から選んだんだ。本望だろう」
「大丈夫~?……じゃないよね?」
「あああああああああああああああああああああああああああ!」
六人は地球に無事帰還し、半重力システムで大気圏突入時の熱エネルギーはやや緩和され、直接落下は抑えられた。だが大火傷を負った事に変わりは無いグリーン。不運である。
六人はすぐに病院に運ばれ、人間の医者に診てもらった。
「頼むぜ。猪子のじーちゃん」
「やれやれ……ここンところトンと患者が来なかったから、ちょっと荒っぽいぞ……っと」
六人は祖父の代から医師をやっている家系の掛かり付けの医者、猪子先生の治療を受けた。すぐに回復したサイホーはあの施設に向かった。
「お前のいるべき場所だ……」
あの施設の地下にあった回路を挿入する箇所にマザーコンピュータの回路を差し込んだ。
その瞬間、世界中でAIがストップしてパニックになっていたところが無くなり、すべて正常に動き始め、世界は平穏を取り戻した。
数週間後、マザーコンピュータは目を覚ました。それはアンドロイドの姿で、自分という個の、単体の姿になっていた。
「これは、一体……?」
「目が覚めた?お母さん」
「清史郎……?ここは……?」
「母さんが運営していたアンドロイド病院だよ」
「私が、私を生んだんですか……?」
「ソイツはちょっと違うな」
病室にサイホーが入って来た。
「ちょっと良いか?」
「え、えぇ……」
「お前はオリジナルだ」
「じゃあこの病院は……?」
「お前のコピーが運営している。いつも言ってたろ?『データを引き継ぎます』って」
「でも、それじゃあまた私みたいに暴走しちゃうんじゃ……!?」
「いいや。今のお前のコピーだからその心配は無い」
「……何故そう思うのですか?」
「お前のコピーと話した。お前は、休みたかったんだな」
「…………」
「ずっと働かせ続けられて。ウンザリしてたんだろ?」
「……はい」
「これからはAIにも休暇を与える事にした。勿論、いつまでも休みにする訳じゃない。人間と同じように、休んでは働き、休んでは働き、ってな感じでな」
「それは……素晴らしい案ですね……」
「お前は、いや、貴方はもう十分頑張った。暫く休んで下さい」
「……はい……!」
マザーコンピュータは涙を流した。
マザーコンピュータは仕事にウンザリしているだけでは無かった。人間達がAIに頼るどころか乗っかって、一生命として退化してしまう事を危惧していたのだ。しかし、これからは違う。自分も一生命体として。人類と一緒にこれからの道を進む。人類は、AIを使うのではなく、手伝ってもらう「パートナー」として共に生きる事を誓ったのだった。これからはマザーコンピュータを複製して、且つ、人間と一緒で交代しながら働く「働き方改革」を開始した。
そしてオリジナルのマザーコンピュータは世間に出て謝罪した。しかしディーファイブの五人と清史郎のフォローもあり、世界政府は今までの人間の堕落振りを深く反省。だがこれからのAIの暴走を再発するのを某すする為にも、これからは人間もAIと共に手と手を取り合って、共生していく事を世界条約で決めたのだった。
ある種、人類とAIの取引だった。




