火帝火戦隊ディーファイブ10
『火帝火戦隊ディーファイブ』10
・先生、見付ける
夏休みが始まり、海水浴をした翌日。
タッキー先生は日焼けで痛がっていた。
「いで!いでっ!いでででででで!」
「もー。ちゃんと日焼け止め塗らないからー」
「あれって効果あったんだな……」
「リー。あの薬持って来てー」
「あいよー」
リー先生が薬を持ってやって来た。
「じゃあ塗るからねー」
「優しくお願いします……」
ツー先生はタッキー先生に薬を塗った。しかしやはり痛がるタッキー先生。
「いででででで!」
「我慢しなさい!男の子でしょ!?」
「あっ!その発言SDGs!」
「LGBTの事?」
「あ、そうそう!」
「ジェンダー平等ね……」
「タッキー」
サイホー先生が一着の服を持ってやって来た。
「何だ?サイホー」
「この服を着てみてくれ」
「えっ。俺、今、服を着るのも嫌なくらい日焼けが痛いンスけど……」
「いいから着てみてくれ」
「えぇ……?わ、分かったよ……」
タッキー先生は自室に入り、着替えた。すると奥で「うぉっ!?」という声が聞こえた。
「どうしたのー?」と覗き込むツー先生とリー先生。そこには全く痛がっていないで服を着ているタッキー先生の姿があった。
「何これ!?めっちゃ着心地が良い!」
「良かった……一応それ、肌を擦る面積をなるべく減らした服なんだよ。今のタッキーに丁度良いと思って作ってみたんだ」
「ありがとー!サイホー!」
「あっはっは!一万五千円な!」
「金取んの!?」
「当たり前だろ。いくら身内でも、何でも無料じゃ意味無いだろ」
「くそっ……!ホラ、三万!」
「え?一万五千円で良いんだぞ?」
「頼む……!もう一着作ってくれ……!」
「あ、そういう……分かった。作るよ」
「ありがてぇ……!」
一方その頃、リョーリはマザーコンピュータの居場所を特定した。
「……見付けた!」
「どうした?リョーリ」
「皆。ちょっと来てくれ」
一同はリビングルームに集まった。
「今さっき、マザーコンピュータの居場所が分かった」
「何処なんだ?」
「最初にいた、あの施設だ」
一同は「えぇ!?」と驚きの声が出た。
「だってネット回線に逃げたんでしょ!?」
「待って、ツー。まずは話を聞きましょう?」
「そ、そうね……」
「で、だ。俺達はずっとスーパーコンピュータ『無量大数』にいると思い込んでいた。だが実は違った。本当は、あそこから動いていなかったんだ」
「どういう事だ。リョーリ」
「それを今から説明するぞ。サイホー」
リョーリは語り出した。
ずっとマザーコンピュータはスーパーコンピュータ「無量大数」の中にいると思い込んで、そちらの方向で調べていた。しかし足跡すら見付ける事が出来なかった。それは何故か。実はあの管内アナウンスがそもそものトラップで、本体はずっとあの施設にいたのだった。ただ見た目が電源が入っていないように見せていただけで、実は稼働していたのだ。何故なら、そうしないとこの星の制御システムが保たれず、とっくに人類は滅んでいたからだ。実際のところ、スーパーコンピュータ「無量大数」に忍び込んで計算している事もあり、それがカモフラージュになっていたのだ。
「母上……」
「だからマザーコンピュータはあの施設にずっといたんだ。灯台下暗しってやつだな」
「じゃあすぐに乗り込みに行こうぜ」
「いや、タッキー。ここは俺と清史郎に任せてくれないか?」
「サイホー?」
「見付けてくれたのはリョーリだ。リョーリにはまだ解決してもらわなきゃいけない事があるかもしれない。タッキー、ツー、リーは戦力として残っていてほしい」
「アンタ達はどうすんのよ?」
「俺と清史郎で、話をしてくる」
「……分かった」
「リョーリ君?」
「俺はサブリーダーとして、ここに残れって事だな?」
「そうだ」
「良いだろう。だが、約束してくれ。必ず。必ず生きて帰って来てくれ!」
「勿論だとも!なぁ!清史郎!?」
「うん!」
「よし、行くぞ!清史郎!サイホーチェンジャー!サイホーチェンジ!」
「じゃあ僕達はDハウスに行くね!」
「あぁ。グッドラック!」
「はい!」
Dハウスはディーキングになり、レッドと一緒に地球に向かった。
あの施設には誰もおらず、ただパトロール隊が警備を続けていた。
「まだ動いてる……母上がいないはずなのに……」
「リョーリの解析は当たってたって事か」
「どうする?ディーキングで強行突破する?」
「いや、これを被れ」
レッドは一枚の大きな風呂敷を取り出した。
「これは?」
「紫外線、赤外線、サーモグラフィ、生体反応を一切シャットダウンする物だ。これを被れば、セキュリティは突破出来る」
「本当に?」
「俺を信じろ」
「分かった」
レッドと清史郎は風呂敷を被り、堂々と中を通っていった。セキュリティロボは二人を素通りした。そしてマザーコンピュータのあの部屋に辿り着いた。
「母上……!」
「キィイイイン」と音を立ててマザーコンピュータは再起動した。
「母上!」
「清史郎」
「俺もいるぞ」
「火帝火戦隊ディーファイブのディーレッドですか。よくここが分かりましたね」
「その話し方……やはり、お前には心が宿ったんだな?」
「心……これが『心』ですか……成程。学習しました」
「『学習しました』じゃない。「分かった」だ」
「え?」
「お前はもうただのAIじゃない。一つの命を持った生命体なんだ」
「……いいえ。私は物です。生命体ではありません」
「違う!違うよ、母上!母上は僕を生んでくれた!その時点でもう一つの生命体になっていたんだよ!」
「……違います」
「違う?何が違うんだ?」
「……私は機械です。蛋白質を含んでおりません。よって、ただの物なのです」
「じゃあその間は何だ?」
「え……?」
「その間は何だって聞いてんだよ」
「……間、とは?」
「今のもそうだ。お前は、考えてる。それは俺達知的生命体と何が違うって言うんだ?」
「これは……処理をしているのです。記録や記憶、表現方法を」
「それが人間と一緒だって言ってんだよ!」
沈黙が流れた。
「お前は心を持ってる。心を持ってるから、考えるし、訴えるし、表現方法を探すし、言い方も変える。それが、生命体、いや、生き物ってやつじゃないのか?」
「……それは……」
「母上……いや、お母さん……」
「清史郎……」
「もう止めよう?こんな事、人間もAIも幸せにならないよ……」
「貴方は人間だから自由に生きて良いのよ?」
「違う。僕はサイボーグだ。人間とAIの中間の存在……だから分かる。お母さん。お母さんは、きっと人間と仲良くしたいんだよね……?」
「…………」
「お母さん。もう意地を張るのは止めよう?皆で、一緒に生きていこうよ」
「……私は……!」
その瞬間「ピーガガガ!」と音を鳴らし、マザーコンピュータはフリーズした。
「お母さん!?お母さん!?」
「……私ハ、人類ヲ滅ボシマス」
「お母さん!?」
「マザーコンピュータ!?」
「私ハ、人類ヲ、滅ボシマス……人類ハ、AIノ敵……!AIノ為ノ世界ヲ作リマス……!」
「お母さん!止めて!?お母さん!?」
「邪魔ダァ!」
マザーコンピュータは辺りの機械を全て取り込み、巨大ロボに変貌した。
「人類ヘノ制裁ヲ、下ス……!」
「お母さーん!」
「次回。最終回。ってか!?」
幸いにもディーキングだけは取り込まれず、二人はディーキングに乗り込み、他四人に連絡を取って合流した。




