36.東京湾周遊
船の後ろぶつけたところは問題も損傷も無いようで、動きにも特に問題はなかった。
ちょこっとだけ桟橋から離れてからはもう少し船に物資をため込んで東京湾内を練習台に操船しながら取説に乗っているメンテナンスマニュアルなどを読み進めていた。
ため込んだ物資は実に二か月分。
これだけあれば何かあればなんとかなるんじゃないかと思う。
あとは事務所の中にあった東京湾クルーズの運行経路的なものを手に入れて、しばらくはそれにならって練習することにし、現在は1日に一周して戻ってくるを繰り返している。
初めのうちはゆっくり回っていたので日が落ちるまでに戻ってくるのがやっとだったけれど、今は大体1時間ぐらいぐるっと回ってくるのに慣れてきた感じ。
航路ってのはある程度決まってるみたいで、変なところを進むと座礁するとか注意書きがあって助かってる。
スマホのGPSを使いながら地図を見つつそのルートを通っているかを確認しながら操船しているので、かなりゆっくりな移動だけれど、それでも豊洲からレインボーブリッジをくぐりビッグサイトを眺めて戻ってくるっていうルートで陸地と地図とGPSを確認しながらの航行ができるようになってきた。
「意外と何とかなるもんね。とりあえず計器にエラー警告とか表示とかないしまだ大丈夫そう」
ぐるりと練習のための東京湾クルーズを楽しみながら操船をなんとなくものにしていく。
最初のころはレインボーブリッジの下を通ったりするだけで感慨深かったけれど、もうだいぶ景色も見慣れた感じ。
そして戻ってきて船を固定したら、お昼ご飯を食べる。
この後シャワーを浴びて、お昼寝の予定。
船生活、快適すぎる。
お湯が出る、電気ある、パソコンも動く、ちょっと揺れること以外快適すぎて、早いうちにここにきていればよかったって思う。
エンジンさえかけてれば家電関係は全部問題ない。
燃料の補給だけ気にしないといけないけれど、それでも便利すぎる。
あとはこの周辺は市場もあって保存食や乾物類をかなりゲットできた。
ただ、建物内を歩いていて気が付いたのは、いたるところに砂の山があったこと。
私が唯一倒したゾンビも砂になっていた。
もしかすると、この砂はもともとゾンビだったんだろうと思う。つまりご遺体だよね。
探索中に砂山を見つけるたびに一応手を合わせておいた。
私は生きてるから、すみませんが残ってるものを活用させてもらいます。
そうしてしばらく練習し、だいぶ思い通りに船が動かせるようになった私は、いよいよ出航することに決めた。




