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雨井まいは生き残る  作者: シャチ


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35.いざ始動

 ガラガラ音がしてからブロロとエンジンが回り始める。

 私は今操縦室にいる。

 船を見つけてから2週間、波が穏やかで晴れ渡った今日、とりあえずこのマリーナの中で船を動かしてみるというのが私の今日の課題。

 ため込んだ物資は約1か月。仮に離岸して、戻るのに四苦八苦して東京湾で漂っちゃっても多分多少は何とかなるだけ用意はした。

 

 ちなみに、一番苦労したのは固定してあったロープを外すこと。

 全然外れないし、外したら今度は付け方が分からない。

 誰が船の固定の仕方なんて災害時に調べる? 調べないでしょ?

 ただ、これも事務所のマニュアルみたいなので助かった。

 外し方と固定の仕方が書いてあったから。


 ただ、固定しているロープを全部外して船乗り込んで、出航して帰ってきたとき誰がロープを陸側で受け取って引っ張ってくれるというのでしょう?

 あれ? もしかして出航したら戻れなくて終了?

 ただ、取説を見てみる限り、桟橋に向かってバウって機能を使って船体を押し付けてる状態で固定すればいいみたいに書いてあったので、今日はそれを試してみる。

 最悪、船を止めて私がロープを片手に泳いで桟橋まで行けばいい。

 ライフジャケットも用意したし、なんなら探索中に見つけた水着も服の中に着てる。

 

 私は説明書に合った通りに、スイッチを入れてゆっくりとスロットルを前進にいれる。

 あとはハンドルを切るだけ。


「うわわわわ、マジで動いてる」


 ゆっくりと船が桟橋から遠ざかる。

 エンジンはちゃんと回ってそう、燃料も大丈夫、微速前進。本当にゆっくりと船が動き始めた。

 スロットルを中立に戻すとゆっくりと慣性で船が進む。

 もう一回戻った方がいいんじゃない?

 それに思ったより視界が悪い。

 ハンドル握ってると桟橋との距離がよくわかんない。

 いったん桟橋の方へ移動して少しだけ離れてるのを確認する。

 

「えーと、エンジンを逆回転させて、最悪後ろの船にぶつけてもいいから桟橋につけよう」


 私はまた少しだけレバーを動かして後進する。

 はっきり言うけどすぐ後ろなんてここからは見えないんだもん。

 良いよぶつけても壊れなきゃいい。

 しばらくして、ゴンッ!って音がしてスロットルを真ん中に戻して、慌ててデッキに降りて桟橋との距離を見る。


「思いっきりお尻ぶつけてる……うん、壊れてなきゃ大丈夫」


 次は取説にあったバウって機能。

 これで岸に押し付けるらしい。


「えーと左方向に動きたいからスイッチを切り替えて」


 今度は船全体がゆっくりと桟橋に近づいて行った。

 また、ゴンって音がしてどうやら桟橋にぶつかったらしい。

 私は慌てて船首の方へ行き先端にわっかを作ってあるロープを手に取って桟橋に向かって投げる。

 何でも船は前から固定しないとダメみたい。


 桟橋のロープをかけるでっかいフックみたいなのに船首側のロープのわっかを引っかける。

 あとは後ろのロープも同じように引っかければとりあえず大丈夫。

 私は船に戻っていろいろなスイッチを中立やオフにしてエンジンを止める。


「オッケー、とりあえず少し動かせた。あとは練習するしかないけど今日はもうなんか疲れたからなんもしない!」


 あとは事務所にあった、船の固定のしかたってマニュアルを見てフックみたいなのにロープを巻き付けてしっかり固定する。

 すごい力仕事であんまり回数こなしたくない。

 一回海に出たら1週間ぐらい帰ってこないつもりで、練習したほうが楽かもしれない。

 それならもっと食料ため込んだ方がいいかも。

 もうちょっと準備に時間をかけよう。

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